ワールドカップ 2015.09.17

帝京大V5&6主将、サントリーの中村亮土と流大がW杯ジャパンへの思い語る

帝京大V5&6主将、サントリーの中村亮土と流大がW杯ジャパンへの思い語る

2013年7月の日本代表菅平合宿での中村亮土(撮影:BBM)

 4年に1度のラグビーワールドカップ(W杯)の第8回大会は18日、イングランドで開幕する。予選プールBに入ったジャパンは19日、ブライトンで南アフリカ代表とぶつかる。

「エディーさんの信頼が厚かったメンバーだと思います。順当に選ばれるメンバーが選ばれた」

 大会登録メンバーの31人についてこう語ったのはCTB中村亮土。帝京大在学中に大学選手権を制覇し続け、4年時には主将として同選手権5連覇を達成している。3年時からはエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)率いる日本代表に名を連ね、4キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を獲得。現所属先のサントリーでは昨季終盤、レギュラーを獲得している。もっとも「昨季は自分のプレーがだんだんよくなっていたこともあるけど、将来的なこともあって出られたんだと思います」とも話していた。「自分を冷静に見れてしまうんです」。その気質を持って、代表チームでの自分の立ち位置を淡々と語った。

「代表では、去年の春も遠征には連れて行ってもらっていましたけど、戦力ではなかったですね。社会人のシーズンでいい結果を残さないと外される、という思いはあった。だから(サントリーに合流後しばらくは)チーム内での争いの段階で焦りがありましたね」

 昨秋から代表入りを逃しているなか、W杯出場を目指していた同学年の選手には強い思い入れがあった。SH内田啓介(パナソニック)とPR垣永真之介(サントリー)だ。結局、2人はバックアップメンバーに回ったことを受け、CTB中村は「僕も、悔しかった」と語る。

「よく喋ったりしていた仲で、大会に対する思いも知っていた。僕が外れたなかでも2人が頑張り続けていたことは、励みになっていたので」

 SH内田がメンバーから外れたことを驚いたのは、SH流大も同じである。帝京大の主将を務めた昨春、日本代表のツアーに参加。その時は「W杯のSHは3人と聞いていた」という。いまは「同年代の選手には素直に頑張って欲しい」という思いだ。

「そして、次は自分も…という思いもあります」

 昨年9月の代表候補合宿の際、SH流はジョーンズHCから「帝京大でキックが必要なのはわかるけど、ジャパンでプレーするならラン、パスの判断力をつけるように」と言われていたという。もっとも帝京大では、目の前の対戦相手に勝つ最良の選択としてキックは「外せない」ものだった。

「帝京大の戦術で僕のキックを外してしまうと難しいところもあった。明らかにハーフから蹴った方がいい場面があって、それでトライも取れましたし。裏の連携ができていない大学が多かったので…。その分、不用意なキックはしないように、ランとパスはしっかり意識して…と割り切っていました。エディーさんに言われていることは、素直に理解できたので」

 19日のゲームは、SHとして観戦が楽しみだという。ジャパンのSHには南半球最高峰であるスーパーラグビーの日本人選手第1号、田中史朗が屹立。一方、南アフリカ代表のSHは今季から加入したサントリーのチームメイトで「世界最高クラス」と呼び声の高いフーリー・デュプレアが怪我からの復帰戦とする見込みが高い。「2人のプレーは絶対に勉強になる」と話し、笑いながらこう続けた。

「フミさんがフーリーにいらいらさせているところを観てみたい。ブラインドからアフターで入ったり…本当はいけないんですけどね。フーリーはチームメイトですけど、やっぱりジャパンには勝って欲しい」

 指揮官のジョーンズHCについては、「勝つための方法を知っていて、どう勝つかを選手に信じさせるのがうまい」とSH流。またCTB中村はより強く、指揮官の力を信じている。「目標に向かってスタンダードをぶらさない。そしてそのスタンダードのままやっていれば勝てると、いつも選手に投げかける」。本番へ挑む選手の心境も、こんなふうに想像していた。

「エディーさんが1人ひとりの性格やパフォーマンスを観て、判断している。それを選手がどうこう言うべきではないと、選手が信じている」

(文:向 風見也)

nagare

中村亮土と同じく流大(写真右)も2019年W杯へ向けて成長が期待される(撮影:BBM)

PICK UP