神に誓う、己の活躍。ツイ ヘンドリック、攻撃的バックローとして躍動誓う。
ラグビー日本代表は31日、9月からのワールドカップイングランド大会の登録メンバー31人を発表予定。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチがかねて「数か月前から構想がある」というその隊列には、サントリーのFL/NO8ツイ ヘンドリックも加わる。身長189センチ、体重107キロの27歳。ニュージーランド育ちのランナーだ。
2007年に初来日。当時は新興校のひとつとされた帝京大で、希少な助っ人として期待された。
グラウンドでは目をぎらつかせて鬼の形相となるが、オフの折はシャイな笑顔を浮かべる人だ。最初は試合に出るたびに、伝統校の学生たちによる洗礼を浴びた。岩出雅之監督や当時のチームメイトは、密集で相手選手に足を噛みつかれるツイの姿を何度も目の当たりにしてきた。最初は逆上して、逆に反則を取られていたツイだったが、逆境に耐えうる冷静さも身に付けてゆく。2009、10年度と大学選手権で連覇を達成し、「何もないところから自分たちの力でチャンピオンになれた。友情も生まれた」と述懐。卒業後はパナソニック、サントリーと渡り歩き、2014年には日本国籍を取得した。
「日本には、ラグビー以外の面でもお世話になっている。代表になることは誇りで、嬉しくもある。100パーセント、身体を張りたい」
2015年、南半球最高峰スーパーラグビーのレッズに加入。シーズン終盤に2試合連続で出場し、自慢の突破力をアピールした。7月に合流した日本代表のツアーでその才気は活かされ、8月29日のウルグアイ代表戦(東京・秩父宮ラグビー場/○40-0)でも後半10分にトライを決めた。
「ジャパンの戦術だったら、6番(FL)でも8番(NO8)でも問題なくプレーできます。言われているのは、とにかくシェイプ(チームの攻撃陣形)に入れ、と。相手のディフェンスがセットするよりも早くシェイプに入ることで、(球をもらった時に)ゲインライン(攻防線)にアタックできる」
ツイが入学当時の帝京大で主将を務めていたのは、現ジャパンの副将であるHO堀江翔太。「試合前に皆のためにお祈りをしてくれて…」と後輩の一面を明かしたことがある。繊細な祈りをささげる王国育ちの走り屋は、日本語を話せなくとも日本代表の宝となりつつある。