花園ラグビー酒場=生涯一プロップのはまちゃんに会えるセンベロ居酒屋
まいど!浪速のおっさんや。毎日暑いなあ。日本は温帯ちゃうで、もう亜熱帯や。おっさんはこの夏3回ほど溶けたわ。うそやでー。せやけどマジ溶けそうな勢いや。
ドボッドボッに汗かいた日はキンキンに冷えたビールをキューやな。生き返るなんてもんやない。そういうわけで行ってきたー。
立ち飲み居酒屋『花園ラグビー酒場』。
今年開店20年目や。
ドアを開けると「いらっしゃーい」と東屋(あずまや)あさ子はんが笑顔で迎えてくれる。みんなから「お母ちゃん」と呼ばれるオーナーは自称38歳。
ちょっとボケが中途半端やね。
店内は大テーブルが4つ。中央の通路側だけ鉄のポールでできた座席がある。
「詰めたら50人はいける」
お母ちゃん、ラッシュの電車ちゃうで。
壁には色紙やら、小旗やら、ポスターやらがいっぱい貼ってある。ラグビー知らん人には拷問やで、しかし。
びっくりすんのはその値段や。
樽生中ジョッキ230円
サントリーモルツ大瓶500円
冷酒グラス250円
冷奴200円、枝豆200円
「なんじゃ、こりゃー」
『探偵物語』の松田優作はんになるで。
ジョッキは凍らせてあるし、冷奴は半丁ほど出てくる。完全なお値打ちや。
「立ち飲みは安いもんと決まっとる」
そう言うお母ちゃんのおすすめは『XOジャン焼きそば530円』や。
「まいうー」。
石ちゃんのセリフ、パクってしもたわ。塩味ベースやけど、とうがらしも入って、ピリッとすんで。豚肉、もやしは山盛りや。
おっさんは昔、ラグマガに『チンさんのラ・グルメ』ちゅうコーナーを持ってたんや。W大出身のゼンコウ先輩に頼まれてラグビー選手の店を回った。あれ以来の衝撃やな。
友達のはまちゃんが「センベロの店」言うんもうなずける。『センメリ』やないで。「メリークリスマス、ミスターロレンス」。古っ。
「1000円でベロベロに酔える」ってことね。焼きそば頼んで、生2杯飲んでも990円。「すげえ」。思わず江戸っ子になってしもたわ。
はまちゃんは元ジャパンね。キャップ12や。名前は浜辺和。44歳の右PR。近鉄を引退してもクラブチームでプレーしてはる。
「この店には世話になっとるんですわー」
藤島大はんがどっかで書いてはったけど、この人のビールは子供のヤクルトとおんなじや。一瞬でクイッ。でも、カバのように飲み過ぎると、なんの前触れもなく「おえっ」ときはる。一緒に飲む人はご用心や。
ここには週1で顔を出してるでー。
せやけどこの日、はまちゃんは古市駅のエレベーター工事で来られへんかった。さっそくお母ちゃんと欠席裁判や。
「はまちゃん見てても思うんやけど、ラグビーの人はすごいこだわりがある。自分が一番。単純で時にへそまがり。これもそうや」
壁のポスターを指さす。今から18年前のパシフィックリム選手権(現在のPNC)のジャパンの集合写真や。篠山紀信はんに撮ってもらったらしい。はまちゃんは最後列中央に小さく映ってる。自慢の一品や。
「過去の栄光や、って言うんやけどね」
それでも置いてやってる。優しいなあ。
お母ちゃんは週末、観戦に花園に通う。店のある土曜日は「準備があるから、走って帰ってくる」。なんやかんや言うても楕円球好き女子に変わりはない。
「ラグビーの人は子供みたいでかわいい。大人になりきれてないからね。よく言えば純粋なんよ」
お店には、とーえつ君ら近鉄のトップリーガーも当然来る。
「でも最初に来たんはサントリー。飲みもんはそっから仕入れてる。それを聞いてくれてねえ。永友さんなんかも来てくれたなあ」
今はキヤノンの監督も、若かりし頃は試合のたんびに顔を出してくれたらしいで。
サンゴリアスのみんな、義理堅さはあんたらんとこの社風や。花園で試合があったら、バス横づけはできひんけど、その辺に止めて行ったってやー。直弥さんもたのむでー。
お母ちゃんには目標がある。
「2019年のワールドカップ。それまでこのお店をやっときたい。頑張りたいねえ。外国人が来たら? ニコッとしとったらええねん。言葉しゃべれんでも、結構通じるもんやしね。せやけどそれまで生きているやろか」
お母ちゃん、こんだけ話せたら大丈夫。はまちゃんの嫁も探したらなあかんしね。
お母ちゃんのトークも面白い『花園ラグビー酒場』。お店は東大阪市の下町、近鉄奈良線の河内花園駅から歩いて1分や。線路北の商店街の左側。ほぼ道なりに10分ほど行くと花園ラグビー場がおまっせ。
ちなみに今月9日から16日までは盆休み。行くんやったら17日以降にたのんます。
【住所】東大阪市吉田1−2−22
【電話】072−962−6171
【営業時間】午後5時〜10時
【定休日】日曜、祝日