国内 2015.07.31

リーチ、田中、堀江…。ゆかりの深いジャパン戦士について、神戸のイーリ語る

リーチ、田中、堀江…。ゆかりの深いジャパン戦士について、神戸のイーリ語る

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今年のジャパンセブンズで神戸製鋼の一員としてプレーするイーリ ニコラス(撮影:矢野寿明)

 2011年度から4シーズン、パナソニックに在籍したイーリ ニコラスが、今季から神戸製鋼に移籍。前所属先には田中史朗、内田啓介と、同じSHの位置に日本代表が2人もいた。試合出場の機会を求めたイーリが、新天地からのオファーに応えた格好だ。

 身長180センチ、体重90キロの力強い日本国籍保持者は、冗談を交えて言った。

「チームにはずっとフミさんもいて、去年はウッチーが入って。試合に出るチャンスが欲しかった。(新天地の)チームには同じ年代の選手も多く、楽しいです。神戸は太田(パナソニックの本拠地)よりも、街が栄えていますし!」

 日本になじみの深い外国出身選手の1人だ。セントビーズ高(ニュージーランド)から、縁あって北海道・札幌山の手高に留学。「誰か、友だちも連れておいで」。ラグビー部の佐藤幹夫監督に言われて声をかけたのが、マイケル・リーチ。そう。後の日本代表主将、リーチ マイケルだ。リーチとイーリは幼馴染みで、近所で川遊びをしたりテレビゲームに興じたりする仲だった。

 来日後のリーチの印象を、かつてイーリはこう語ったことがある。

「神様が生んだ子どもみたいだった。日本に来る留学生は、つい(金銭的な支援を)求めがちだけど、マイケルはただで何かを受け取るのが嫌だったようです」

 謙虚で努力家だったというリーチは、後に高校日本代表や20歳以下日本代表に入るなど、期待の星とあがめられるようになる。一方、イーリは一時帰国の後に拓大を経て、パナソニック入り。ここで田中や堀江翔太とプレーする。2人は2013年、南半球最高峰のスーパーラグビーでプレーする日本人選手第1号、2号として話題を集めた。

 イーリは昨季、ニュージーランドの地域代表選手権であるITMカップにオタゴ代表として出場。改めて「ニュージーランドと日本では、ラグビーの位置が違う」と振り返る。オタゴ代表からスーパーラグビープレーヤーへとジャンプアップした経緯を持つ田中と堀江については、「この2人がしたことはもっと日本で称えられていい」との思いを新たにした。

「ニュージーランドではどこへ行ってもラグビーの話題があり、オールブラックス(代表チーム)は一番のセレブ。(グラウンド上では)激しく、HP(ロールプレイングゲームなどで用いられる生命力の値)が削られていく感じ。そこで(ラグビー途上国と映る)日本の選手が評価されたのはすごい。特に翔太さんは(苛烈な肉弾戦が避けられない)HOだったのだから…」

 リーチ、田中、堀江。現ジャパンの命運を握る3人に特別な思いがあるイーリ。今季の目標は「トップリーグの決勝で、パナソニックと対戦したい」である。

(文:向 風見也)

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