地力高まるジャパンだが… PNC3戦目、フィジーに惜敗
魔の時間帯は前半20分からの8分間。ジャパンはミスや防御の乱れからフィジーに3トライを許した。
7月29日にカナダ・トロント(BMO Field)で行われたワールドラグビー パシフィック・ネーションズカップ2015のジャパン×フィジー。22-27の惜敗に、桜のジャージーはまたも笑えなかった。
序盤はジャパンが制した。ファーストスクラムは2分過ぎ、フィジー陣22メートル付近。ジャパンはしっかり組んで展開した。一連のアタックでフィジーの反則を誘う。FB五郎丸歩が先制PGを決めた。その後もジャパンはフィジーの攻撃をよく止め続ける。10分過ぎにはフィジーの危険なタックルでPGを得て五郎丸が3点を追加。正確なスナイパーは、16分過ぎにもPGを決めてジャパンは9-0とリードした。
PGを決められて9-3とされた後、ジャパンは中途半端なキックでピンチを招いた。20分過ぎだった。カウンター攻撃を受ける。自陣に攻め込まれた後に左に展開されると、LOテヴィタ・ザヴンバティに防御の隙を突かれて走り切られた(Gも決まり9-10)。24分過ぎにはスクラムを押し込んで球出しを狂わせるもボールを取り返せず、左に展開されて走られ、最後はSOジョシュ・マタヴェシがトライとゴールを決める(9-17)。28分頃にはハンドリングミスから攻められ、フィジーが蹴ったハイパントを争う。こぼれ球をWTBメトゥイセラ・タレンブラに拾われ、走られた(Gも決まって9-24)。
大きく乱れた8分間。しかし、攻撃を継続できさえすればジャパンの方が上回れた。アンストラクチャーの状況さえ作らなければ赤と白のジャージーは慌てず、前半の残り時間も攻め込む。得点こそならなかったが、やるべきことはハッキリした。
後半、ジャパンは主導権を長く持った。しつこく攻める。フィジーは反則を連発した。
7分、フィジー陣ゴール前でスクラムを得ると、押し込み、NO8ツイ ヘンドリックが右に持ち出す。WTB山田章仁がトライラインを越えた(14-24)。その5分後にも相手反則からPKで攻め込み、PGで3点を追加。17-24と迫る。19分にPGで失点するも(17-27)、27分にはまたもフィジー陣深くでスクラムを得るチャンス。ツイが右に攻めて右中間にトライ。22-27と1トライ差に迫った。
試合の最後の約8分、赤白のジャージーは敵陣深くに居座り続けた。
スクラムで押し込む。反則は誘うが押し切れない。機を見てSH田中史朗がFWにボールを散らす。トライラインに迫るが、最後の数10センチが進めない。そしてラストシーンは、ピッチの右タッチライン際。大きく展開したところをつぶされ…フルタイムの笛を聞いた。
すべてがワールドカップでの勝利に続く道と考えれば、高まった地力は確かに感じられた。チームとしての『底』のレベルは格段に上がっている。しかし、勝利でしか得られぬ自信はまた手にできなかった。ベストメンバーで戦う時間がまだ足りていない。