セブンズ 2015.04.04

1000日以上公式戦出場なしの高井迪郎、東京セブンズでの全力プレーを誓う

1000日以上公式戦出場なしの高井迪郎、東京セブンズでの全力プレーを誓う

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東京セブンズ前日の会見に出席した高井迪郎(右上/撮影:松本かおり)

 東京セブンズに特別な思いを持って臨む選手がいる。ジャパンの6番をつける高井迪郎(たかい みちろう)だ。高校ラグビーの古豪・大分舞鶴を卒業し、日本体育大の主将を務めた。U20日本代表の経歴も持つFL/NO8で、セブンズでは学生のときから胸に桜をつけていた。
 九州電力キューデンヴォルテクスの選手。しかし、4年目を迎える25歳だが、顔はあまり知られていないのではないだろうか。なぜなら、怪我に苦しみ、公式戦に一度も出場していないからだ。

「膝の手術を何回も重ねて、苦しい時期もあったんですけど…。確認したら、大学の引退試合以来、1000日以上も公式戦でプレーしていないんです。九州電力の公式戦にはまだ出ていない状態ながら、瀬川さん(智広/男子セブンズ日本代表ヘッドコーチ)にチャンスを与えていただいた。日本代表として活動することも、九州電力ラグビー部の価値を上げることにつながると思いますし、かなり特別な思いを持っています」

 きょう開幕する東京セブンズ(4月4、5日/秩父宮ラグビー場)の前日、共同会見でコメントを求められた高井は、「私にできる精いっぱいのことをやりたい」と言った。

 アジアシリーズに参加したことはあるが、世界の強豪が集うセブンズワールドシリーズに挑むのは今回が初めて。先月末の香港セブンズ遠征では大会直前に帰国を言い渡され、それでも、必死のアピールでチャンスをつかみ、ついに東京セブンズの舞台に立つ時が来た。

「特に期待されているのはハイボールの争奪だと思うので、1試合で何回チャンスがあるかわからないですけど、世界を相手に自信を持って力を発揮したい。あとはディフェンスもアタックもアグレッシブなプレーを心掛けています。アタックに関しては1人でどうこうできる個人技は持っていないので、ラインブレイクやリンクプレーで貢献したいと思っています」

 会見前、九電のチームメイトが激励の電話をくれた。大学の仲間も応援してくれて、何人か試合を観に来てくれるという。「最後…かもしれない…」。胸に秘めた思いを話し始めようとしたが、彼は言葉を続けなかった。今季限りでワールドシリーズから外れると噂の東京セブンズに言及しようとしたのか、自身のキャリアについて語ろうとしたのか定かではないが、いずれにしても、目の前のビッグチャレンジに集中する。自分にとっても、コアチーム残留を目指すチームにとっても、大きな挑戦だ。
「自分がこれまでやってきたことを、精いっぱい出し切りたいと思います」

 日本はプールDでアルゼンチン、サモア、フランスと対戦し、同組を2位以上で通過しての8強入りを目指す。

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