国内 2015.03.08

オールスターMVPは50メートルコンバージョンの五郎丸! いざ、W杯へ

オールスターMVPは50メートルコンバージョンの五郎丸! いざ、W杯へ

All Star

自身4回目のオールスターで初めてMVPを受賞した五郎丸歩(最前列中央のORANGE)
(撮影:早浪章弘)

 日本最高峰であるラグビートップリーグ(TL)のオールスター戦が8日、岐阜・長良川競技場であり、日本代表43キャップのFB五郎丸歩(ヤマハ発動機)が最優秀選手となった。

 リーグ戦前半節のプールAの8チームからなる「FOR ALL ORANGE」の一員として出場。同プールBから選ばれた「FOR ALL GREEN」に48-39で勝った。公式入場者数はオールスター戦歴代2位の5,382人を記録し、「予想以上にお客さんが来ていて、びっくりしました」と本人。収益の一部は東日本大震災の復興支援に充てられる。

 受賞の決め手は、後半26分にあったか。サニックスのWTB屋宜ベンジャミンレイがトライを決めると、FB五郎丸はハーフ線上に楕円球を置く。TLで通算998得点のキッカーは、そのまま、50メートルの長距離コンバージョンを決めた。強烈な弾道で、スタンドの度肝を抜いた。

 同じ「FOR ALL ORANGE」には、早大の1学年後輩でNECの主将であるPR瀧澤直がいた。天然パーマを伸ばした憎めぬ丸顔のPR瀧澤も、オールスター戦ではFB五郎丸の物まねをしてゴールキックを狙っている。どちらが蹴るかは2人で決めたというが、主将を務めたSO大西将太郎(豊田自動織機)からはこう言われていた。

「ゴローのキックを観たいお客さんもいる。どこかで1回は、ロングキックを」

 シーズンを締めくくる日本選手権では、FB五郎丸が所属するヤマハが初優勝を飾った。2月28日、東京の秩父宮ラグビー場でサントリーを15-3で下した。2010年度は活動縮小を余儀なくされ、自身もプロから社員選手に転向した。だから日本一の気分は「一言では言い表せないです。いろいろ、あったので。浮き沈みもあって…」とのことだ。

「苦しかった時期を忘れずにプレーすれば、これから数年はヤマハの強い時代が続くんじゃないでしょうか」

 実感が沸いたのは、6日にあったチームの納会だという。

「この時、初めてチームメイトと飲んだんです。決勝戦の後はサタデースポーツ(NHKのスポーツニュース番組)に出ていたおかげで、祝勝会には出られなかったので」

 身長185センチ、体重99キロのジャパンの副将。3月1日に29歳の誕生日を迎えた今年は、9月のイングランドでのワールドカップを見据える。

「4月からは個人にフォーカスしたトレーニングを、と言われている。スピード、ゴールキックの精度。ここは常に求められている。安定感を出していきたいです」

(文:向 風見也)

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