国内 2015.02.28

ヤマハが日本選手権優勝! 4年間の清宮体制実り初の全国制覇! 

ヤマハが日本選手権優勝! 4年間の清宮体制実り初の全国制覇! 

Yamaha

日本選手権の栄冠を高々と掲げるヤマハ発動機の選手たち(撮影:松本かおり)

 創部から32年、ヤマハ発動機ジュビロが悲願の全国制覇を遂げた。2月28日、東京・秩父宮ラグビー場でおこなわれた第52回日本ラグビーフットボール選手権大会の決勝で、サントリーサンゴリアスを15-3で下し、初優勝。2010年度にはトップリーグ入替戦にまわるなど降格の危機も経験したヤマハだが、清宮克幸監督就任4年目で日本一を争うチームに成長し、ついに栄冠を獲得した。

「決勝戦だというのに、なんとアグレッシブに戦ってくれたことか。強気、強気で戦い、ヤマハスタイルを貫いた結果。こういう舞台で、正しい判断ができない時間帯は確かにあり、普段通りにいかないこともあったが、それでもノートライに抑えた。ベストゲームだった」(ヤマハ・清宮監督)

 今季トップリーグで2位だったヤマハ発動機と、同プレーオフ進出を逃したサントリー。日本選手権に並々ならぬ意気込みで臨んだ両チームの頂上決戦だった。
 ヤマハは激しくプレッシャーをかけ続け、前半から敵陣で優位にゲームを進めた。前半7分、ゴール前でフォワードが圧力をかけたあとバックスに展開し、CTBマレ・サウのトライで先制。26分にはゴール前右のスクラムから左へ回し、WTB中園真司がコーナーに飛び込んだ。
 2年ぶりのタイトル奪還を目指したサントリーだが反則が多く、キーマンだったSHフーリー・デュプレアの一時退出や、LO真壁伸弥主将の負傷交代も響いた。ヤマハの粘り強いディフェンスを崩すことはできず、ミスも目立って、結局ノートライ。
 前半に15-3となっていたスコアは後半の40分間でも変わらず、最後はチームの強みであるスクラムで圧倒したヤマハが、歓喜の瞬間を迎えた。

 敗れたサントリーの大久保直弥監督は、「ヤマハはすばらしいディフェンスを80分間続けた。敬意を表したい」と潔かった。「粘り強い相手に対し我慢強く攻めようとしたが、自分たちにミスが出た。ボールキャリアーが絡まれ、ブレイクダウンのスピードを殺されたことも敗因。そんなに速くボールが動くゲームではなかったので、疲労感はなかった。前半からもっとボールを動かすラグビーをやれたらよかった。選手はよく戦ってくれた。人生と同じようにここから学んで、さらに強いチームを目指したい」と語った。

 途中から主将代理を務めたFL佐々木隆道は、「相手の方がタフだったからヤマハが勝った。自分たちはミスを重ねてしまった。そういう中でもプレー選択をするのがサントリーだが、それができなかった。マインドチェンジするのが遅かったと思う」とコメントした。

 一方、悲願を達成したヤマハの三村勇飛丸主将は、「みんなで笑顔で終われたのが嬉しい。4年間、積み重ねてきたことが間違いじゃなかったことが証明できた。経験とか悔しいことがあって、いまがある。一人ひとりがリーダーシップを取れるようになってきた。僕だけでなく、グラウンドに立っている一人ひとりの成長が大きい。トップリーグプレーオフ決勝で応援に来てくれた人の期待に応えられなかったが、今日は喜びを分かち合えて良かった」と語り、「来年はもっと強いチームになりたい」と口にした。尊敬すべき闘将である。

 そして、入替戦を経験するほど苦しんでいたジュビロを4年かけて日本一のチームにした清宮監督も、喜びをかみしめる。
「タックルして、起き上がって、ファイトし続けるチーム。そのための体力、技術、精神力を養うには4年間必要だった。どのチームより努力して、身につけたものがある。過去の負けから学んだのは、自分たちのスタイルを持つこと。それを突き詰めていかないと勝ち続けることはできない。ヤマハはそういうことを活かしてチーム作りをしていった」
 サントリーでも指揮を執ったことがある清宮監督は、ヤマハスタイルというのは自身のサントリー時代の経験がベースになっていることを認める。だからこそ、想定内のアタックとディフェンスに対してしっかりと準備ができた。また、選手だけでなく、チームスタッフの力も大きかったと語る。
「安定したスクラム、ラインアウト、モール。ヤマハの強さの基盤はそこ。それを作り上げるために絶対に必要だった人間が長谷川慎(FWコーチ)だった。それくらい大事なピース。3つがあるから、他の飛び道具がある。メディカルグループ、優秀なマネージャー陣がいて、いろんなことが揃って優勝できた」

 関西社会人リーグでの優勝経験はあるが、全国タイトルは初だ。
「バックスタンドの風景が目に入って、試合直後のインタビューで涙ぐんでしまった。歓喜を表現する写真が、昔のもの以来なかった。やっと十何年ぶりに歓喜の写真が撮れると思い、うるっときた」と指揮官。
 ヤマハ発動機ジュビロに、日本選手権優勝の歴史が刻まれた。

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