下剋上だ! 筑波大が明治大に快勝。4年連続で大学選手権4強入り
この試合をどう戦うか。自分たちのラグビーとは。それらを明確に示した側が勝った。
全国大学選手権のセカンドステージ、第3週(最終節)。プールCからのファイナルステージ出場権を懸けた筑波大と明治大の試合が江戸川区陸上競技場でおこなわれ、43-7と筑波大が快勝した。接点と運動量。筑波大はそこに集中し、試合のリズムを自分たちのものにした。
先制点は前半7分。筑波大は明治大のミスで敵陣深くに侵入し、スクラムからのアタックを仕掛ける。CTB鈴木啓太がタテに切れ込んでインゴールに飛び込んだ。明治大も14分にラインアウトから攻め、CTB尾又寛汰がトライを奪うも…その後は、時間を追うごとに筑波大の勢いが増していった。勝者は、FWが動きのある中での接点で上回り、ブレイクダウンを制した。BKも強みを出した。アウトサイドのスピードに紫紺のジャージーは翻弄された。
20分にラインアウトからの連続攻撃でPR橋本大吾がトライを挙げた筑波大は、23分にターンオーバーから切り返す。WTB福岡堅樹が大きくゲインし、最後はSO亀山宏大が仕留める。21-7とリードして前半を終えた。
筑波大は、後半も3トライを奪った。FWが前に出て自慢のBKに好球を配すと、明治大はついていけなかった。NO8山本浩輝は「個々が意識高くやれた。タックラーがファイトした結果」と語り、WTB福岡は「対抗戦で敗れた相手。負けるわけにはいかなかった」。そして試合後の古川拓生監督は、「FWの健闘が素晴らしかった」と話し、特に3番に入っていた崔凌也の踏ん張りを称えた。
東福岡高校時代はLOだった崔。大学入学後にPRに転向した。
「相手と比べたら体重が少ないし、経験も浅いので、ヒットスピードだけは負けないようにしました。そこで自分の形を作れたらなんとかなると思って」
気合いを入れて臨んだ2年生PRは、「BKにいいボールを出せたら勝利につながると信じていました」と笑った。
自分たちはどうか勝つのか。明治大は、それをイメージ出来ぬまま決戦を迎え、その迷いがパフォーマンスにあらわれた。
ゲームの流れをつかめそうな時間帯はあった。前半の終盤。筑波大陣深くで、何度かスクラムを得た。しかしプッシュにこだわらず、すぐにNO8がサイドを突く展開をくり返す。その場面をPR勝木来幸主将が振り返った。
「相手は以前より、確かに(スクラムが)強くなっていました。でも、こだわって押したかった。ただ、その意志が全員には伝わっていなかった。こういう大舞台、ああいった状況でもコミュニケーションをとれるチームにならないといけなかった」
キャプテンは、「いずれにしても、あの場面でトライをとれなかったのが自分たちの実力だったということです」と唇を噛んだ。