攻撃の鍵握る明大SO田村 慶大戦に向け「コミュニケーションを」
関東大学対抗戦Aで昨季5位扱いだった明大は、今季、開幕4連勝中。11月2日には東京・秩父宮ラグビー場で、こちらも4戦全勝の慶大(前年度3位扱い)とぶつかる。大一番に向け、チームの攻撃を支えるSO田村煕が展望を語った。
昨季は大学選手権セカンドステージ敗退で終えるなど失意のシーズンを過ごした明大だが、今季は前年度の中位陣が集まる関東大学春季大会グループBでは5勝0敗で優勝。秋の対抗戦でも9月14日の開幕戦で筑波大(昨季4位扱い)を41−21で下すと、以後は3試合連続で完封勝利を決める。9月28日に下部から今季昇格の立大を92−0(東京・上柚木公園陸上競技場)、10月12日に前年度6位扱いの青山学大を80−0(埼玉・熊谷ラグビー場)、26日には昇格組の明学大を106−0で制圧した。
SO田村も前年度は試合ごとの出来幅の波などを指摘されしばし控えに回ったが、今季は好調なチームの不動の司令塔として屹立。相手の死角へのパス、キックで魅せる。
しかし、危機感は抱いている。チームの選手層を拡大させる意図から後半34分までベンチを温めていた明学大戦の直後、SO田村はあえて課題を口にした。
「明学大、青学大、立大とやっても、ピンチの時間帯はある。そこで自分たちは、どこかで『勝てる』と思ってやってしまっている部分があって。例年よりはうまくいっているという手応えが皆のなかにはあるけど、個人的にはそれはどうなのかと思う部分もある。『今年はイケる』と言われている時、一番、慶大みたいな相手が危ないかなと。早大もそうですけど、力がないとされる年でも競ってくる」
前年度の対戦では18−24で敗れた(2013年11月3日・秩父宮)。だから、シーズン終盤戦に向け手綱を締めたくなる。他者の作る雰囲気には流されない。
今季の明大は、連続攻撃を長所とする。SO田村の手前、周辺にFWの選手が陣形を作り、相手守備網をかく乱する。「前へ」という伝統的な部是を持つクラブは、いま、個々の縦への推進力を組織のなかで発揮させようとしている。ビッグゲームが続くシーズン終盤の展望は。軸であるSO田村は「起点」と「連携」の重要性を強調した。
「差がある相手だと、何をやっても通用してしまうところがある。強い相手に(攻撃の組織を)通用させるポイントとしては…。セットプレーとブレイクダウン(接点)を安定させること。あとは、ちょっとずつでも、選手同士がコミュニケーションを取り続けること。それぞれが違うことを考えていると、(個々の)動きが変わってテンポが出なくなる。それが(自軍の)ミス、相手のいいタックルを受けることにつながったりもするので」
日本代表で明大OBのSO田村優(NEC)を兄に持つ。丹羽政彦監督によれば、代表陣営は弟にもいくらかの興味を示しているという。