国内 2014.10.29

「166、75」 慶大の小兵FL廣川、2日の明大戦でも鋭いタックルを

「166、75」 慶大の小兵FL廣川、2日の明大戦でも鋭いタックルを

hirokawa

慶應義塾大のブレイブタックラー、FL廣川翔也(撮影:松本かおり)

 関東大学対抗戦Aでは11月2日、東京・秩父宮ラグビー場で、昨季3位扱いの慶大が同5位扱いの明大と対戦する。全勝同士での大一番に向け、クラブの伝統であるタックルで魅せるのがFL廣川翔也だ。今年度はここまで4戦中3戦に先発した2年生は、公式データによると「身長166センチ、体重75キロ」。学生レベルのFWにあっては小柄である。しかし、ポジショニングと相手に飛び込む角度の妙で魅せる。

 10月11日、埼玉・熊谷ラグビー場。昨季4位扱いの筑波大とぶつかった。33−17とリードして迎えた後半19分頃、敵陣中盤左中間でFL廣川が刺さる。相手のキーマンであるFL水上彰太ゲーム主将が密集からパスを受け取った、その、懐へ飛び込んだ。落球を誘った。

「ちょっと…覚えてないです。いつも大体、試合の映像を観て『あぁ…こんな感じだったんだ』となる方で…」

 普段はそう語るFL廣川自身も、ある程度は当該の場面を覚えていた。

「水上さんに、でしたっけ。大体、『ここ』へ来るかなと予測して…。さらに外へ(ボールを)回されたら危なかったですけど、イチかバチかで成功した感じです」

 東福岡高時代から名脇役で鳴らした。3年春の全国高校選抜大会では、チームの大会3連覇(当時)に貢献。鋭いキックチャージからトライを奪うなど、好機と危機で鼻を効かせた。筑波大戦で倒した水上は同じ高校の2学年先輩で、自身が1年時の主将だった。FL廣川は続ける。

「水上さん、高校の時はほとんど話したことがなくて。ヒガシは部員も100人くらいいて、自分は下のチーム。高嶺の花みたいな選手と、こうして同じ舞台で試合できるというのは…」

 伝統的に小兵選手の多い慶大に進学。それでも実際に練習をすると、「当たれば吹っ飛ぶ。これはやばい」。自分の長所を大学レベルで発揮するためにも、肉体改造の必要性を痛感した。「1年生の時は体重、体重、体重で」。最近は「タックルひとつにしても自分から思い切り入れる感じが出てきた」という。
 
「高校の頃は70キロもないくらいで、いまは重い時で89とか…(自己申告)。大学では高校でやっていなかったウェイト(トレーニング)をやっていたので。前はもっと動けたかなという時もあるけど、ヒガシの時の身体じゃ通用しないと思っていた。ここからフィットネス(持久力)をつけられればいいかなと」

 相撲観戦が好きだ。「何で、知ってるんですか? テレビをつけて、やっていたら観る、くらいです…」。芝の上でも、驚愕のけたぐりで大男をひっくり返したい。

(文:向 風見也)

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