海外 2014.09.12

NZの空気吸い込んできた! 『Game On English』帰国報告会

NZの空気吸い込んできた! 『Game On English』帰国報告会

Game on English

報告会に参加した選手たち。選手たちの間に入るのは左から文科省・山中伸一事務次官、
マーク・シンクレア駐日ニュージーランド大使、女子7人制代表フリアナ・マニュエル主将
(撮影:松本かおり)

 日本の若者に英語の集中学習プログラムと専門的なスポーツトレーニングを提供する「Game On English」。これは、ニュージーランド(NZ)政府主催の教育事業である。今年7月7日、NZ訪問中だった安倍総理大臣、同国のキー首相立ち会いのもと、公式プログラムの立ち上げが宣言された。
 同プロジェクトのパイロットプログラム(テスト活動)には今年6月から8月にかけて、『石見智翠館高校女子ラグビー部(10名)』(6月29日〜7月25日)、『関東高校スーパーリーグ11選手(11校から11人)』(7月21日〜8月9日)の2チームが参加した。期間中、奨学生として選ばれた選手たちは午前中に集中英語プログラムに学び、午後は優秀なコーチングを受けてのラグビートレーニング。ホームステイや現地での仲間作りを通してそれぞれの『世界』を広げ、誰もがひと回り大きくなって帰国した。そして9月11日には、その報告会が東京・渋谷のNZ大使館 大使公邸で開催された。

 報告会には現地に行った石見智翠館のメンバーの中の3人と、関東スーパーリーグの11人が参加。両国関係者に自分たちが刺激を受けてきたこと、学んだことを伝えた。「午前の英語レッスンと午後のラグビー、どちらが大変だった?」の問いには全員が「午前中」と答え、会場に笑い声が響くシーンもあったが、関東スーパーリーグの11人は全員が英語でスピーチ。たくましくなって戻ってきたことを感じさせ、プロジェクトの今後を明るく照らした。

 オークランドに滞在した石見智翠館の青木蘭主将は、今回が初めての海外体験だった日々を、「自分の好奇心がさらに広がった時間だった」と振り返った。
 3人家族のもとにホームステイした同主将は、持ち前のコミュニケーション能力を発揮して、すぐにファミリーの中にとけこみ、両国の生活や文化についてたくさん話した。
「あれは、これは、と何でも英語で聞いて、もともといろんなことに興味があるのですが、その気持ちがもっとオープンになった気がします。あることを伝えるときにも、いろんな表現がある。もともと英語は得意ではないけれど、好きでした。日本に戻って教科書を読み返してみたら、どんどん頭に入ってくるような気がしました(笑)」
 オークランド協会のサポートを受けたラグビーでも、現地チームとの試合で自分たちのスピードや持久力が通用することを体感。
「でも、フィジカル面ではもっと高めないといけないと、あらためて実感しました」
 将来海外でプレーしたい夢が、さらに膨らんだ。

 関東スーパーリーグの11人はダニーデンに滞在し、英語とラグビーの日々にどっぷり浸かった。チームの代表として取材を受けた茗溪学園の前山武蔵は、「現地のコーチの引き出しの多さ、フレンドリーさが印象に残っています」と振り返った。
 11人は現地で2グループに分かれ、現地高校チームに加わってトレーニングをした。前山が驚いたのは、加わった『CABANA HIGH SCHOOL』にいた自分より小柄な選手の激しさだ。
「もの凄い負けん気でした。ひるまず、大きな選手に立ち向かっていっていた」
 刺激になった。日本に戻ってから感じるのは、以前より前に出るようになった自分だ。FLの生命線であるタックルがよくなった。
 英語でのコミュニケーションにも度胸がついた。
「細かい文法などを気にせず、ゼスチャーなどを交えて伝えようとすれば簡単な英語でも通じました。だいぶ、壁が低くなった気がします(笑)」
 帰国後、自分が以前よりもっと積極的になっていることにも気づいた。これまで描いていた将来の進路にも変化が出そうな体験だった。

「Game On English」は、今回参加した若者、関係者の声を反映させ、さらに発展していく予定だ。ニュージーランドは、日本が主催する2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けて協力を惜しまない。両大会に、このプロジェクト出身の若者が出場できたら何よりの恩返しだ。

PICK UP