国内 2014.05.06

NZと南アの魂が激突! ワールドユース、劇的決勝を制したのはハミルトン

NZと南アの魂が激突! ワールドユース、劇的決勝を制したのはハミルトン

final 1

絶対に譲れない戦い。NZ・ハミルトンボーイズ×南ア・パールボーイズ
(撮影:Hiroaki. UENO)

 国内の強豪高校8チームと、海外の8か国・地域から実績のある高校が福岡・グローバルアリーナに集結し、4月28日から熱戦が繰り広げられてきた「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014」は5月5日にファイナルを迎え、ハミルトンボーイズハイスクール(ニュージーランド)が3年ぶり3度目の優勝に輝いた。ニュージーランド勢としては5連覇。
 決勝では、同じラグビー大国の南アフリカを代表してきたパールボーイズハイスクールと対戦し、1点を追う試合終了間際に逆転トライを奪い、15‐11で劇的勝利を収めた。

 序盤は南アチームにハンドリングエラーが多く、NZのハミルトンボーイズが10点をリード。しかし、今大会で1試合平均約7トライを挙げてきた敵のアタックに耐えた南アは、27分、敵陣22メートルライン外のスクラムからキャプテンのNO8シャルル‐フランソワ・デュトイが持ち出して力走、タックラーをかわしてインゴールにボールをねじ込み、10‐5で前半を終えた。
 フィジカルバトルは互角。ボールへの執着心も一歩も譲らない。

 「ハミルトンボーイズがすばらしいチームだというのは、これまでの戦いを見てわかっていました。スピード、スキル、ストラクチャー…、他を圧倒するものをたくさん持っている。だから試合前、絶対に気持ちで負けないようにしようとみんなに言いました。受け身になるな、最後までハードファイトすればチャンスはあると。僕たちの最大の武器は、プライドです。南アフリカのラグビープレーヤーだというプライド。南アフリカとニュージーランドは、この世界ではグレイトライバルです。ラグビーでは絶対に負けたくない」(南ア・パールボーイズのデュトイ主将)

 南アは後半16分までにペナルティゴールを2本決め、10‐11と逆転した。
 20分、NZは敵陣でのスクラムからの攻撃で13番が鮮やかに中央を突破するも、南アがゴール前で食い止める。25分にもハミルトンは敵陣22メートルライン内に入ったが、南アのFWがブレイクダウンでボールを出させなかった。
 時計の針は刻々と過ぎ、残り数分。1点を追うNZは押され気味だったものの、自陣深くでなんとかボールを手にする。ラインアウトから大きく左へ回し、FBのビッグゲインで敵陣へ。そして、フルタイム寸前、果敢に攻めてフェイズを重ね、ゴール前左で素早く細かくつなぐ。南ア・パールボーイズの選手たちも、8日間で6試合という激闘の連続で残っていた力を振り絞ったが、最後はハミルトンジャージーの背番号4がインゴールに飛び込んで逆転トライ。この後、ワンプレーがあったものの、まもなく、ノーサイドの笛が鳴った。

 「両チームのプライドをかけた、とてもタフなゲームでした。勝つことができて誇りに思います。相手のタイトファイブはすごく強いので、自分たちのFWにはカウンターで思い切り立ち向かっていくように指示しました」と、笑顔で激闘を振り返ったハミルトンボーイズのナイジェル・ホザム コーチ。自分の息子で、キャプテンを務めるCTBレギン・フェリックス・ホザム(PRコリン・エイデン・ジョンストンと2人主将制)や、SOオービン・レガー、フィジアンのFBセヴロニ・リース、CTBイライジャ・アルなど、クレバーな選手が多いバックラインに自信を持つが、決勝ではフォワード陣の奮闘も勝因に挙げた。
 「このサニックスワールドラグビーユース大会は、ニュージーランドでも大きなタイトルのひとつと考えられています。ニュージーランド選手権で優勝したら、『これでサニックスに行ける!』とみんなが口にするくらい、とても有名で、楽しみにしている大会です。学校では大きなセレモニーを準備しているようですし、帰国したら、TV1ニュース(国営放送局)も空港で待っていると思います」

 ハミルトンボーイズハイスクールのOBには、ウエールズ代表のウォーレン・ガットランド ヘッドコーチや、オールブラックスのSHタウェラ・カーバーロー(チーフス)、スコットランド代表WTBショーン・マイトランド(グラスゴー)などがおり、一方のパールボーイズハイスクールは南ア代表に9人を輩出し、スプリングボックス元主将のコーネ・クリカや、2007年ワールドカップの優勝メンバーであるPRガースロ・スティアンカンプ(トゥールーズ)などがいる。
 福岡・グローバルアリーナでプレーした両チームの多くの選手たちがきっと、将来、スーパーラグビーや代表戦で活躍することだろう。

 プロのラグビー選手を目指すというパールボーイズのデュトイ主将もそのひとりだ。
 「最後の最後に逆転トライを奪われて、本当に悔しくて、悲しかった。でも、この大会に参加させてもらって、ニュージーランドのチームともいい試合ができて、僕たちは貴重な経験をさせてもらったと思っています。決して忘れません。チームとしても成長できると思うし、自分にとってもすごく充実した一週間でした。きっと、将来につながると信じています」

hamilton

優勝したハミルトンボーイズの選手たち。チーフスやオールブラックスの金の卵だ
(撮影:Hiroaki. UENO)

<サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014 最終順位決定戦 結果>

■決勝戦
・ハミルトン ボーイズ ハイスクール(NZ) 15 – 11 パール ボーイズ ハイスクール(南アフリカ)

■3位・4位決定戦
・リセ ルイ ドゥ フォワ(フランス) 19 – 15 東海大仰星高(大阪)

■5位・6位決定戦
・東福岡高(福岡) 36 – 7 ブリティッシュ スクールズ(ウルグアイ)

■7位・8位決定戦
・セント エドマンズ カレッジ キャンベラ(豪州) 55 – 5 慶應義塾高(神奈川)

■9位・10位決定戦
・SGSフィルトン カレッジ(イングランド) 38 – 5 常翔学園高(大阪)

■11位・12位決定戦
・筑紫高(福岡) 28 – 19 大阪桐蔭高(大阪)

■13位・14位決定戦
・御所実業高(奈良) 48 – 7 桐蔭学園高(神奈川)

■15位・16位決定戦
・ショウニガン レイク スクール(カナダ) 21 – 20 富川北高(韓国)

PICK UP