危機を乗り越えた欧州クラブラグビー大会 「チャンピオンズカップ」誕生!
イングランドとフランスのクラブが離脱を表明し、揺れていたヨーロッパのクラブラグビー大会。参加条件の不平等や分配金などについて不満の声が上がり、約2年間も内紛状態にあったが、議論を重ね、ついに妥協点が見つかり再編は合意に達した。
欧州最強クラブを決める大会として1995年からおこなわれてきた「ハイネケンカップ」は、2014−2015シーズンから生まれ変わり、「ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ」として新たにスタートする。
正式発表があったのは現地時間4月10日。『BBC』など欧州メディアが報じたところによると、関係する9団体(シックスネーションズ=イングランド、フランス、ウエールズ、スコットランド、アイルランド、イタリアのラグビー協会と、イングランド、フランス、ウエールズのクラブ組織)の代表者が合意書にサインし、新大会は誕生した。今回の合意は、少なくとも今後8年間の欧州クラブ大会を保証するものだ。
ハイネケンカップはERC(ヨーロピアン ラグビー カップ リミテッド)のもとでおこなわれてきたが、“チャンピオンズカップ”はEPCR(ヨーロピアン プロフェッショナル クラブ ラグビー)が運営・管理する。EPCRは、チャンピオンズカップの下部大会にあたる「ヨーロピアンラグビー・チャレンジカップ」の再編と、予選大会の新設についても明らかにした。
≪ヨーロピアンラグビー・チャンピオンズカップ≫
ハイネケンカップの出場チーム数は24だったが、新大会では、ヨーロッパを代表する3つのリーグから計20チームが参加する。
前年度の成績をもとに、イングランド最高峰リーグの「プレミアシップ」とフランス最高峰の「トップ14」から上位6チームずつ、ウエールズ、スコットランド、アイルランド、イタリアのクラブ(地方代表)が集まって構成されているリーグ「プロ12」からは7チームが参加。プロ12の枠は、各国(各協会)から少なくとも1チームは出場することが保証された。
残り1枠は予選プレーオフで決める。2014−2015シーズンについては、プレミアシップとトップ14の7位チーム同士で出場権を争い、2015−2016シーズンからは、プロ12側からも出場権をかけたプレーオフに参加する。
そして、欧州クラブラグビーの下部大会にあたるチャレンジカップの優勝チームが、もし所属リーグで下位に沈みチャンピオンズカップへの出場権を得られなかった場合は、そのクラブは1枠をめぐるプレーオフに参戦できる。
≪ヨーロピアンラグビー・チャレンジカップ≫
出場枠は20で、プレミアシップ、トップ14、プロ12から計18チームが参加する。残り2チームは、FIRA−AER(ヨーロッパラグビー協会)が主催する予選大会で決定する。この予選大会にはイタリア勢2チームのほか、ルーマニアなどティア2国(中堅国)にも門戸を広げ、8〜12チームで競うことになりそうだ。
問題視されていた大会参加条件が見直され、イングランドとフランス側が不満を抱いていた分配金についても、プレミアシップ、トップ14、プロ12に、平等に3分の1ずつ与えることで解決した。
また、イギリスでのテレビ放映権に関しても揉めていたが、今後4年間は「BTスポーツ」と「スカイスポーツ」が共同で放送することで丸く収まった。プール戦は全試合を均等に分けて放送し、準々決勝は2試合ずつ、準決勝は1試合ずつ担当、決勝はどちらのテレビ局も生放送することになるだろう。
解散の危機もあった欧州クラブラグビー大会。問題を乗り越え、明るい未来が開かれた。