国内 2013.10.06

先に叩け! 8トライで紫紺圧倒し、筑波大今季初勝利。

先に叩け! 8トライで紫紺圧倒し、筑波大今季初勝利。

この日2トライと活躍の筑波大NO8山本浩輝。(撮影/松本かおり)

 

 

 

 途切れた。開幕からの連敗が。
 継続した。紫紺を相手に、スカイブルーのアタックが。
 10月6日に熊谷ラグビー場でおこなわれた関東大学対抗戦の筑波大×明大戦は50-10。筑波大が3戦目にして、今季初白星を手にした。

 

 慶大と早大に敗れてこの日を迎えた筑波大。過去の試合を振り返って気づいたことがあった。
「過去2戦、そしてジュニアの試合も含め、今季は同じ試合をして負けているんです。だから、崩れるとき、ノっていけているとき、自分たちがとういうプレーをしたときにそうなっているかを検証して、そこを意識していこうと」
 古川拓生監督は、この試合に向けてやってきた準備を、そう語った。
「相手のスカウティングもしましたが、それより、自分たちにフォーカスしました。それだけでこれだけ変わった。シーズン中に自分たちで修正できたことは大きいですね」
 試合への入りの悪さを覆そう。そして状況判断。積極性と我慢のバランスを全員がイメージして試合に臨み、実行した。会心の勝利だった。

 

 明大にはここ3年、常に競り負けてきた。パターンも同じ。立ち上がり、前半最後、後半最初。その時間帯に失点を許した。やられてから、やり返す。それでは遅かった。きょうは先に叩く。集中した。
 開始1分、その集中力で攻めきった。明大のキックを受けてカウンター攻撃を仕掛ける。ラックから淀みない球出し。右へとまわったボールを受け、ライン際を疾走したのはWTB山内俊輝だ。
「夏合宿でケガをして5週間ぶりの実戦でした。スタンドから(慶大戦、早大戦の敗戦を)見ていて、先に点を与えて苦しんでいると感じていました。逆の展開なら持っている力を安心して出せるのに、と思っていたので集中しました」
「最低限の責任を果たしただけ。途中でバテたし」と苦笑する2年生は、試合後に爽快な顔をしていた。

 

 先制トライで勢いの出た筑波大は、のびのびと攻めた。
 先制トライの3分後、スクラムからのアタックでNO8山本浩輝が大きく前進。明大G前でPKを得ると、速攻を仕掛けて、ふたたび山内がインゴールに駆け込む。7分、27分に明大にトライを許すも、2トライを追加して24–10で前半を終えた。大きかったのは、33分に奪ったトライだ。キックチェイス後の好タックルからターンオーバーし、そのボールを大きく展開してWTB福岡堅樹が決めた。追う相手を意気消沈させ、気分よくハーフタイムを迎える一撃だった。

 

 後半立ち上がりの集中力も見事で勝負は決まった。
 2分にラインアウトムーヴからHO村川浩喜、PR橋本大吾、FL下釜優次が走り追加点を挙げると、8分にはゴール前スクラムからNO8山本がぶち抜く。 結局計8トライの猛攻。明大・丹羽政彦監督が「筑波はスカウティング通りのことをしてきたが、順目側に立つFW人数が間に合わなかった。BKのディフェンスも前に出ず、待っていた」と振り返った試合は、一方的なまま終わった。

 

 2戦続けて筑波大の10番を背負ったスーパールーキー、山沢拓也は、「エリアをとっていく試合運びを意識しました」と言った。ガツガツ攻めてくる地域に相手を入れなかった。
「もっと筑波のラグビーを理解し、周囲の人たちのいいところを引き出していきたい」
 敗軍の将、丹羽監督は、ミスが多発した内容に、「トライを『あげた』ような感じ。コーチングも、もっと考えていかないといけない」と唇を噛んだ。SO田村熙はアウトサイドでミスが起こった原因について、「みんなの判断がまだ一致しない」と語った。

 

 

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