アジア王者は絶対。コアチーム入りへ、瀬川HC決意にじむ。
遠くで雷鳴が聞こえる中、セブンズシニアアカデミーでは基本を徹底して繰りかえした。
先日発表された男子7人制『2013年度 第6回セブンズシニアアカデミー』のメンバーたちがヤクルトの埼玉・美女木グラウンドで本格的に動き始めた。自チームの夏合宿などにより遅れて参加するメンバーもいるが、瀬川智広ヘッドコーチの指導のもと、短時間ながら基本の確認を繰りかえした。8月31日に始まるクアラルンプールセブンズへ出場するメンバーの座を争う数日間の始まりだ。
クアラルンプール大会で開幕する今季のHSBCアジアセブンズシリーズ。バンコク(タイ)、ムンバイ(インド)、シンガポールと続く戦いを経て、総合成績によってシリーズ王者が決められる。昨年のシリーズでは、中国国内の情勢不安から上海大会出場を取りやめ、ムンバイ大会で香港に負けたことにより、総合2位に終わる。その結果、香港セブンズでは下部大会への出場となった。さらに、そこで4位以内に入れなかったことにより、ロンドンセブンズで行われたコアチーム(HSBCセブンズワールドシリーズ全ラウンドに参加する15チーム)入り決定大会にも出場できず…。もう、同じ失敗は繰りかえさない。
今回も同様のシステムで進められる予定になっているコアチーム入りへの道。だから、なにがなんでもアジア王者にならなければ。その目的が達成できれば、香港セブンズで上位大会に参加できる権利と、ロンドンでのコアチーム入り決定大会への出場権を同時に手に入れられる。
瀬川HCは、「昨年、アジア王者になれなかった影響は大きかった。本来は香港大会でコンタクト局面への対応になれるようなことをやりたかったのに、それができず、さらに負けてしまった。だから、今年はなんとしてもアジア王者になり、東京セブンズ、香港セブンズを世界との接点に慣れることを目的にする場にしたい。そういう準備をして、ロンドンに乗り込めればいい結果も出ると思う」と決意を込めた。
「絶対に勝つ」戦い方でアジアシリーズに臨む。
瀬川HCの描くイメージは、「対アジアを考えれば、日本の強味は接点。デイフェンスの時に激しく絡んで簡単にはボールを出させず、アタック時には接点に防御を集めたい。相手を思うように走らせるなら、たとえアジア相手でも苦しむことになりますから」。
決して華麗な戦い方ではないかもしれないけれど、とにかく結果だけを見つめる。
トップリーグの開幕節と日程が重なるクアラルンプール大会。今年6月のワールドカップ・セブンズに出場したときの中核メンバーは、各々のチームから離脱するには難しいタイミングだ。それゆえ、今回の合宿参加メンバーの中のW杯メンバーは僅か。瀬川HCは、「そんなメンバー構成ですから、6月の状態に上積みするというわけではない。シンプルなことを徹底するところから始めています」と語る。
スペースにボールを動かす。チャンスにウラに出る。サポート。この日のトレーニングでも、そんな原点を徹底した。
「リーダーも不在」とした瀬川HCは、W杯も経験したロテ・トゥキリに、リーダーシップを持って動いてもらいたいと願う。
「これまではプレーで引っ張ってくれていたけど、そういう役回りも期待したいですね。日本語も以前より随分上達しましたしたからやれると思う」
これまでチームを支えてきた存在はいないけれど、それを台頭のチャンスとしたい若手たち。「九州にいい選手がいるぞ」というコカ・コーラウエスト、向井昭吾GMからの情報提供を受けて招集した中島進護(福岡工業大学)らも、積極的にアピール中だ。
第2ラウンド以後のトップリーグ組の参加は要請済み。クアラルンプール大会を若手の結束と勢い、潜在能力で制することができれば、アジア王座への道も明るく照らされる。その当事者となるための競争は、明日以降激しさを増しそうだ。