最年少キャッパー藤田慶和 怪我からの復活へ「忙しいって幸せなこと」
昨年はテストマッチ(国同士の真剣勝負)の国内最年少出場記録を更新も、直後の大怪我で長期離脱した早大1年のFB藤田慶和は、今年1月初旬から実戦練習に復帰した。
昨春、初の日本代表入り。5月5日にはアジア5カ国対抗のUAE戦に18歳7カ月27日で先発して6トライをマークも、同月27日、早大の一員として出場した同大との招待試合で左膝靱帯を断裂する。7人制日本代表で各国を転戦するなど、東福岡高時代からタフなスケジュールをこなしていたが、30日の執刀後はリハビリ生活を余儀なくされた。公の場では前向きな発言を繰り返していたが、「怪我をしたことによって、色んなことをネガティブに考えた部分があった」と話す。
「自分のことは前向きに捉えられたんですけど…。周りのことで、見方によっては意味があるかもしれないことにも『意味ない』という方向で、全部マイナスに考えてしまったこともあります」
ラグビーをしていて一番辛かったことは、という問いには「今、ですかね。チームの試合をスタンドで観なきゃいけないのは辛かったです。あぁ、出たいな、早くラグビーしたいな、と」と答えた。
もっとも、本来は「今を楽しむ」を掲げる若者だ。学生生活を楽しみ、日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)とも積極的に面談する。
「1人でいるのは嫌いですね。友だちと一緒にいたら楽しい。最初はエディーさんから『面談したい』と。会った時に『次はいつ会ってもらえますか』と聞いています。自分の状況も伝えたいですし、エディーさんの持っている色々な情報も知りたいんで」
リハビリ中は持ち味を殺さない範囲で、筋力アップにも注力。秋口から軽いランニングや敏捷性を高める練習を始め、年明けからはチームのトレーニングにも部分的に参加している。
「怪我する前は忙しいなぁって思ってたんですけど、朝から学校に行ってリハビリして…という普通の生活になった。逆に、忙しいことって幸せなことだなって思えるようになりました」
3月には、日本協会の若手育成プロジェクトである「ジュニア・ジャパン」のスコッドがオーストラリアなどでのパシフィック・ラグビーカップに参戦予定。招集が確定的な藤田は、今季の目標を「スーパー15に近いところでプレーしたい」とする。大学卒業を前提としつつ、早期での南半球最高峰リーグへの挑戦を目指している。国際試合での活躍を、現地の関係者にアピールしたい。
(文・向風見也)