戦力充実の王者・帝京大 ルーキーたちが大暴れ
止まらない帝京大CTB権裕人(中央)。日体大戦でハットトリック
(撮影:松本かおり)
開幕からの2戦を完封勝ちと快調な滑り出しを見せていた帝京大が、この日は日体大相手に今季初失点。しかし78−5と大勝し、危なげなく3連勝を飾った。
10月8日、快晴の熊谷ラグビー場での80分は、前半11分にゲームが動き始めた。帝京大は左ラインアウトから展開。地元・正智深谷高校出身のルーキー森谷圭介がダミープレーで自ら抜いて防御ラインの裏に出ると、サポートについたCTB権裕人(2年生)に絶妙のタイミングでパス。先制トライを奪った(森谷のゴールも決まり7−0)。
この日の王者は下級生が暴れた。15分にはPKからタッチキック後、ラインアウトからモールを組み、プッシュ。負傷で大事をとった泉敬主将の代わりに2番を背負った1年生HO、坂手淳史が慎重にトライラインの向こうにボールを置くと(12−0)、27分にはラインアウトから展開後の振り戻しでSO森谷が仕掛け、またもやCTB権がトライ。権は31分にも森谷の防御裏へのパントをチェイスしてハットトリックを決め、33−0と大きくリードした前半の立役者となった。
帝京大は後半19分に日体大にモールでのトライを許した直後、キックオフのボールが10mラインに届かなかったり、攻め込まれるなど、少しの時間勢いを失った。それでも失点をそれだけにとどめ、さらに4トライを追加した選手たちに対し岩出雅之監督は、「あまりいい出来ではなかったですね。厳しいところが欠けていた」と厳しい視線。「ただ、まだ気持ちに火がつくような状態になれていないだけで心配はしていません」と信頼感も口にした。この日、腰に違和感があった泉主将に代わりゲームキャプテンを務めたWTB小野寛智は、「1年生には思い切りやれ、と言っているが、その通りにプレーしてくれている」。若い力を称えた。
敗れた日体大のPR城葵主将は、「(これまで対戦した早大、明大より)帝京大はブレイクダウンで前へ出ようとする意識が強いと感じた」と語りながらも、「FWで(トライを)とれたのは自信になる」。次戦の青学大戦で勝利に結びつけたいと口にした。