各国代表 2012.09.26

SBWと一緒にプレーしたい … クーパー、13人制へ転向の流れ加速か

SBWと一緒にプレーしたい … クーパー、13人制へ転向の流れ加速か


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ワラビーズの10番を着たクーパーはもう見られない?
(撮影:Yasu Takahashi / Nichigo Press)


 



 ラグビーリーグ(13人制)転向への伏線か。
 オーストラリア代表のファンタジスタ、SOクウェイド・クーパーが、ロビー・ディーンズ代
表ヘッドコーチ(HC)とオーストラリアラグビー協会への批判ともとれる発言をして、物議をかもしている。ディーンズHCのコーチングは保守的であり、代表チームのプレースタイルは退屈でファン離れを引き起こしている、と24歳の司令塔はツイッターに思いの丈をぶつけた。
 さらに地元メディアのインタビューでは、物事が計画通りに進んでいないオーストラリア協会とチームに対しても不満を隠さず、「思っていることがあっても誰も発言しない。誰かが指摘するのを期待している、非常に不愉快な環境だ。私はそんな毒された空気のなかにはいたくないし、前進しない駒にはなりたくない」と語っている。「ディーンズHC個人を攻撃しているのではなくて、ワラビーズを取り巻くすべて、協会はもちろん、選手、セレクター、コーチ、みんなに対しての意見だ。私自身も成長しなければならないし、チームも改善しなければならない。私は負けるのが嫌いだ。オールブラックスに負けるなんて、最悪だ」



 オーストラリア代表、ワラビーズは今季のテストマッチで苦しんでいる。6月には、30年ぶりにホームでスコットランドに敗れた。ブレディスローカップは10年連続で宿敵ニュージーランドに奪われ、9月15日のアルゼンチン戦では歴史的敗北を喫するところだった。
 しかしその原因はクーパーにもある。2011年は所属するレッズのスーパーラグビー初優勝に貢献し、相棒のSHウィル・ゲニアとともにワールドカップ制覇の鍵を握る司令塔と期待されたが、閃きのプレーは不発に終わり、同大会3位決定戦では、のちに7カ月間のリハビリを要するほどの重傷を右膝に負ってしまった。その間には、恋人だった北京五輪競泳金メダリストのステファニー・ライスさんとの別れがあり、飲酒による乱闘騒動や自動車事故などでゴシップ紙を賑わした。今年5月19日のスーパーラグビー(ライオンズ戦)で再びラグビーフィールドに帰ってきたが、全盛期のプレーはまだ取り戻しておらず、今年の南半球4カ国対抗戦ではメディアに酷評されていた。
 現在、クーパーは右膝に見つかった遊離軟骨の除去手術を受けるため、オーストラリア代表から離脱している。



 レッズでは、エキサイティングなフリースタイルでゲームコントロールを任されているクーパーだが、ディーンズHC率いるワラビーズではそれが許されず、いらだちはピークに達している。かたや、ディーンズ氏の指揮官の座も安泰ではなく、代表チームの不調が続けば解任の流れへと発展するだろう。後任には、クーパーの直属のボスであるユーアン・マッケンジー氏(レッズHC)の就任が有力だ。
 それを計算しての指揮官批判と見る向きもあるが、クーパーはその説を一蹴した。「ロビー(ディーンズHC)は私にチャンスを与え、育成してくれた。私は、ロビーを尊敬しているし、彼のもとでプレーを続けたいと望んでいる」。



 しかし、ディーンズHCよりも先にワラビーズを去るのはクーパーかもしれない。
 今年6月、彼はレッズと新たな3年契約を結んだが、オーストラリア協会とのワラビーズ契約は2012年末までとなっており、更新については未定だ。
 2007年ワールドカップでオーストラリア代表の指揮を執ったジョン・コノリー氏は、現地通信社(AAP)のインタビューで、クーパーの発言を「受け入れ難い」とし、オーストラリア協会はこの問題を無視できないだろうと指摘した。また、公に指揮官批判をすれば、信頼関係を維持することは難しく、ディーンズ現代表HCとともに活動していくことはもう不可能ではないかとの見方を示している。



 そこで一気に現実味を帯びてきたのが、クーパーのラグビーリーグ(13人制)への転向だ。過去、パラマタ・イールズからの年俸85万豪ドル(当時約7400万円)というオファーを断ったことがあるが、今回の騒動を受けて、シドニー・ルースターズのチェアマンがクーパー獲得に動くよう指示したとの報道がある。ルースターズは、現在、日本(パナソニック ワイルドナイツ)で活躍しているソニービル・ウィリアムズの、次の移籍先として挙がっている有力候補だ。
 ソニービルの親友であるクーパーは、自身のツイッターでこんなつぶやきをしている。
「マイブラザー、ソニービル・ウィリアムズと一緒にプレーしたい」


 

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