白熱の九州ダービー サニックス、キック多用で手堅く白星発進
サニックスCTBヘスケスを止めに行く九電FL松本キャプテン
(撮影:BBM)
ジャパンラグビートップリーグは9月1日に第1節の6試合が行われ、福岡・レベルファイブスタジアムを舞台に火花が散った九州ダービーは、福岡サニックスブルースが31−13で九州電力キューデンヴォルテクスを降した。3季ぶりに日本最高峰リーグへ帰ってきた九電は後半に巻き返し、一時は3点差まで迫ったものの、一時退場者を出している間に流れを変えられ、復帰戦を白星で飾ることはできなかった。
試合は前半13分、サニックスがSO田代宙士のペナルティゴール(PG)で先制。1分後には、FB古賀龍二が自陣10メートルからゴール前までビッグゲインすると、サニックスのサポートは早く、ゲームキャプテンを務めたPR杉浦敬宏がインゴールにダイブしてリードを広げた。
その後、サニックスがPGを2本、九州電力が1本決め、16−3で前半を折り返した。
後半開始早々、九州電力はCTBベン・ジェイコブスが敵陣22メートル右から個人技で突破し、トライ。難しい位置からのコンバージョンも決まり、48分にはPGも成功して3点差に迫った。
しかしサニックスは、元オールブラックスのベテランLOブラッド・ソーンが「深呼吸して、リラックス」と仲間を落ち着かせ、再び結束する。そして57分、九電のCTBジェイコブスがハイタックルでシンビンとなり、流れは変わった。
「1点差でもいいから勝ちにこだわった」と藤井雄一郎監督がいうように、サニックスはその後、キッカーの安定した足で着実に得点を重ね、粘るライバルを振り切った。
昨季は1勝目が第6節と遅れたこともあり、11位と低迷したサニックスだが、今季はスタートダッシュに成功。上位進出を虎視眈々と狙っている。
【試合後の各コメント】
■サニックス 藤井雄一郎 監督
九州電力はセットプレーが強いので、そこでしっかり戦って、狙えるところはしっかり狙っていこうと。昨季は接戦を落とすこともあり、1点差でもいいから勝ちたかった。キックを多用したのは、九電を分析した結果、有効になると思ったから。(白星発進したことで)次戦からは、もう少しボールを動かすラグビーができると思う。久しぶりの試合だったから、コミュニケーションの部分でももっとよくなっていくはず。カーン・ヘスケスを今日はCTBで起用したが、ポジションはいろいろ変えるかもしれない。
■サニックス PR杉浦敬宏 ゲームキャプテン
最初のトライを自分が決めたが、あくまでチームとしての流れで生まれたもの。開幕戦をどんな形でも勝ちたいと思っていたので、その通りになってよかった。
■サニックス SO田代宙士(マン・オブ・ザマッチ)
リードされても、ブラッド・ソーンなどがみんなを集めて落ち着かせてくれた。チームの勝利に貢献できてうれしい。キックはオンドレ・ベル(アシスタントコーチ)指導のもと、昨年の3倍くらい練習をやった。
■九州電力 平田輝志 監督
3季ぶりのトップリーグ。前回(2009年度)は1勝もできなかったので、この開幕戦で是が非でも1勝をと臨んだが、さすがサニックス。(相手のハイパント攻撃は)ある程度頭にあったが、あそこまでフィールドポジションを取りに来るとは思わなかった。しかし、サニックスの速いボールの動かしにも対応していたし、収穫は多かったと思う。ここで下を向いているわけにはいかない。13試合中の1試合が終わっただけだ。
■九州電力 松本允 キャプテン
フィールドポジションの取り合いでサニックスに主導権を握られ、前半は反則が多かった。後半に点差を縮めたものの、時間が進み、点差も開きだしてミスが増えた点も反省しなければいけない。
■九州電力 SO齊藤玄樹
ラックでも、サニックスはやはり手強かった。相手のキック戦術に関しては、正直なところ、そんなに蹴ってくるとは思わなかった。自分たちのディフェンスは途中まではよかったが、徐々に押されるようになり、ペナルティを重ねてしまった。敗戦後、落ち込んでいる選手も数人いたが、シーズンはまだ始まったばかり。3年前のトップリーグでプレーしていない若い選手も多いし、いい経験になったと思う。