タイとインドがアジア下部リーグ優勝　2015年Ｗ杯へ夢つなぐ

国のプライドをかけたライバル戦を終え、記念写真に収まるインドとパキスタンの選手たち
（撮影：KENJI DEMURA, RJP）

　タイとインドが2015年ラグビーワールドカップ出場へ望みをつないだ。
　今週末、アジア５カ国対抗のディビジョン２（３部リーグ）とディビジョン３（４部リーグ）の試合がマレーシアの首都クアラルンプールで開催され、６月２日のディビジョン２決勝戦では、タイがホームチームに22−19で勝利。１日に行われたディビジョン３の優勝戦では、インドが18−16でグアムを降し、栄冠を獲得した。ディビジョン２王者のタイとディビジョン３を制したインドは、今夏にタイでディビジョン１（２部リーグ）昇格決定戦を行い、勝った方が2015年W杯アジア予選に生き残る。

　マレーシア、タイ、イラン、中国の４カ国が参加して行われたディビジョン２。初日に中国を89−０で圧倒したマレーシアと、イランを37−17で破ったタイが優勝戦に進んだ。
　２年ぶりのディビジョン１復帰を目指したマレーシアは地元の応援を背に、前半５分にペナルティゴール（PG）で先制したものの、FLが相手選手を殴り退場するなど規律が乱れ、タイがPG４本で12−６とリードしてハーフタイムを迎えた。
　しかし、後半早々にアウェイチームは一時退場者を出し、その間にマレーシアがペナルティからの速攻でトライを決め、逆転。体格で上回るマレーシアは、FWによるボールキープ作戦で主導権を握り、19−15とリードしてラスト10分間の戦いに突入した。このままマレーシアが手堅くゲームを進めれば勝利は近づくはずだったが、クリアキックを相手WTBにチャージされ、再逆転トライを許す。終盤にタイ陣内で猛攻を仕掛けたホームチームは、PGで同点を狙うも外れ、ならばとFWを中心にゴールラインを目指したが、タイが必死に守り切り、激闘は終わった。
　なお、３位決定戦ではイランが52−３で中国を降し、最下位となった中国は下部リーグ降格が決定している。

　一方、ディビジョン３はインド、グアム、インドネシア、パキスタンによって熱戦が繰り広げられた。
　日本ラグビーフットボール協会が取り組んでいる「アジアンスクラムプロジェクト」の一環として、萩本光威氏（現 女子日本代表ヘッドコーチ、元男子日本代表監督／株式会社神戸製鋼所）が臨時ヘッドコーチを務めたインドは初戦で、隣国のライバルであるパキスタンに34−５で勝利。インドネシアを38−17で破ったグアムとともに決勝戦に進んだ。
　前半にペナルティトライで先制したインドは、２本のPGと１トライを追加して前半を18−６とリードする。しかしグアムが意地を見せ、後半60分にFLの選手がスタンピングでレッドカードを受けたものの、残る14人が奮闘し、１PG１トライ１ゴールで２点差に迫った。だが、74分にグアムはチーム１のトライゲッターWTBが一時退場となり、２人を欠いた戦力では粘り強いインドを攻略することはできなかった。
　インドは上位リーグへの来季昇格が決定。2015年ワールドカップ出場への望みをつなぐタイとのプレーオフ戦日程は、３日のアジアラグビー協会ミーティング後に発表される。
　そして、優勝戦と同じくシーソーゲームとなった３位決定戦は、13−７でインドネシアが勝利。パキスタンは２年連続の最下位に終わった。

（情報・写真提供：アジアラグビー協会）

マレーシアの突進を必死に止めるタイの選手たち