31歳で初の日本代表 神戸製鋼LO伊藤鐘「向上をやめなかった」
エディー・ジョーンズ新ヘッドコーチ(HC)率いる初の日本代表メンバー30名が19日、発表された。幅広い年代の面々が並ぶなか、30歳を過ぎて初代表となる選手が2名いる。神戸製鋼LO伊藤鐘史(31歳)と東芝NO8望月雄太(30歳)だ。なかでもFL、NO8が本職の伊藤鐘は、FWで東芝LO大野均(33歳)に次ぐ年長者となる。
「(ジョーンズHCは)FW(の選考)では大分、僕の意見も聞いてくれた」と話す薫田真広アシスタントコーチは、2008年に結成された日本選抜で当時リコーに所属していた伊藤鐘を主将にしている。セットプレーの安定を目指す今回の代表でも、「今季、神戸でラインアウトリーダーだった。リーダーシップもある」からと選出した。オーストラリア人の指揮官は、この選手の特徴を「イッショウケンメイ」と日本語で語った。
「(代表入りは)夢の1つだった」と本人。’09年、社員として主将を務めていたリコーから神戸製鋼に移籍し、プロとなった。「そもそも移籍した理由の1つがプレーヤーとして(の自分を)もう1回、磨こうと思ったこと。目標には、チームの優勝と日本代表入りが2つの柱としてあった」が、トップリーグの移籍規定(前所属先からのリリースレター発行なしには移籍後1年間、公式戦出場不可)や度重なる怪我もあり、「どっちかと言うとチームの優勝にフォーカスを当て、目の前の1試合、1試合をやっていた」と語る。「今回のこともそこまでイメージしていなかった。ちょっと年齢的にもギリギリやったんで、正直、嬉しかった。向上することをやめなかった。見てくれていたんだなと」。アピールポイントには「身長が高い(191センチ)のに低いプレーをすること、(スクラムなどで下半身に負荷がかかる)LOでも(FL、NO8並みの)運動量を落とさずにできること」を挙げた。「チャンスを掴むのに時間がかかったけど、気持ちを込めてやりたい」と語った。
(文・向 風見也)