コラム 2012.02.25

Jaque Fourie ジャック・フーリー  (南アフリカ/パナソニック)

Jaque Fourie ジャック・フーリー
 (南アフリカ/パナソニック)

 2011−12シーズンのトップリーグ開幕直前、連覇を狙うワイルドナイツに世界最強CTBが電撃加入した。ジャック・フーリー、28歳。ワールドカップの栄冠を掲げたこともある、現役バリバリのスプリングボクス(南アフリカ代表)である。パナソニックワイルドナイツに所属する日本代表LOジャスティン・アイブスが2011年ワールドカップ直前に左膝前十字靱帯を断裂し、手術をしたため、今シーズンの復帰が困難なことから「日本代表選手派遣に対する代替選手追加登録」としてフーリーの加入が認められた。

 

 2011年11月20日のホンダヒート戦に途中出場し、トップリーグデビュー。キャプテンのCTB霜村誠一が故障で不在の間は、主に25歳の野口裕也とコンビを組み、攻守両面で活躍した。レギュラーシーズン10試合で7トライ、プレーオフ準決勝の東芝戦では後半に勝負を決定づける独走トライを2本奪った。

 

 間違いなく、世界でも屈指の高額プレーヤーである。でかく、速く、強い。守れば、ディフェンス編成は秀逸で、出足鋭い勇敢なタックルを連発する。攻めれば、コース取りに長けたパワフルランを武器に、ブレイクスルーで会場を沸かす。
 代表戦の記録だけでも、その凄さはわかる。20歳でスプリングボクスとなって以来、テストマッチ69試合に出場し、奪ったトライは32本(南ア代表歴代3位)。実は、16カ国(ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ含む)と対戦しているのだが、彼は全チームからトライを奪っている。

 

 人を笑わせるのが好き。ポジティブ志向。やや人見知りだが、コミュニケーションを取るのがうまい。2007年に中心選手としてワールドカップを制したが、その頃は研究熱心なタイプではなく、ビデオセッションで分析を見るときでも、過度に注意を払う選手ではなかった。しかし、コーチが正しいやり方を示したら、しっかりと従う。それに、2010年までNECに所属していたヤコ・ファンデルヴェストハイゼンや、現在キヤノンに在籍するLOアルベルト・ヴァンデンベルグ、さらにサントリーのLOダニー・ロッソウやSHフーリー・デュプレアにも共通するように、ラグビーに対して絶対的な自信とプライドを持つ南アフリカ人は、例えレベルが下がる日本ラグビー界であっても、手を抜くことは一切しない。だからこそ、プレーオフの前哨戦にすぎなかった最終節の東芝戦で、チームが大量リードを奪われたとき、途中出場のフーリーは仲間に喝を入れた。本物は、本気なのだ。

 

 フーリーは今年、古巣のストーマーズには戻らず、南半球スーパーラグビーにも参戦しない。いま頭にあるのは、トップリーグと日本選手権の栄冠だけだ。来季からは、2年総額2200万ランド(約2億3000万円)ともいわれる年俸で神戸製鋼への移籍が決まっている。だから、野武士軍団のジャージーに身を包むのは、あと1カ月。胸に期するものが、ある。
 グラウンドの中央に堂々と立つ、誇り高きブルーの最強「13番」にぜひ注目を。

 

 

ポジション: CTB
生年月日: 1983年3月4日(28歳)
出身地: ハウテン州カールトンビル(南アフリカ)
身長: 190?  体重:105kg
所属: パナソニック ワイルドナイツ
 

【国代表】
デビュー: 2003年10月11日(対ウルグアイ)
CAP: 69
得点: 160 (TRY: 32)

 

※ 記事内のデータは、2012年2月24日現在

 

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