パナソニックが今季初勝利 NECは後半巻き返すも及ばず
ラグビートップリーグ第2節は5日、東京・秩父宮ラグビー場などで6試合が行われた。千葉・柏の葉では、ともに開幕節を落としているパナソニックとNECが対戦した。昨季王者の三洋電機が名称変更したパナソニックが38-26で勝利。4トライ以上獲得時に与えられるボ−ナスポイントを含め、リーグ戦の勝点5をマークした(通算5)。敗れたNECもボーナスポイントの勝点1は獲得した(通算1)。
パナソニックは前半6分にSOマイク・デラーニがペナルティゴールを成功。以後、守備とエリアマネジメント、個々の判断力の妙で流れを掴んだ。
キックを蹴り合うなかで徐々に敵陣へと進みながら、8、24分と、いずれも左タッチライン際でパスを待っていたWTB三宅敬がトライラインを割った。さらに36分にはCTB林泰基のパスからデラーニが大きく突破、最後はリターンパスを受けた林がゴールエリアに飛び込んだ。前半終了間際の40分には、自陣10メートル付近右中間スクラムからSH田中史朗が好走、追って複数のサポートプレーヤーが球を繋ぎ、最後はダニエル・ヒーナンが駆け抜け点数を31-0とした(いずれもゴール成功)。
後半は3分、相手守備ラインのスペースをヒーナンが突きパナソニックが加点した(ゴール成功)。続けて、後のシーズンを見通しCTB霜村誠一主将、田中、デラーニらキーマンを相次いでベンチに退けた。
ここから、セットプレーやボール争奪局面では前半から健闘していたNECがペースを掴む。後半20分にラインアウトからのモールでニリ・ラトゥが(ゴール失敗)、後半25分にSO田村優のビッグゲインを起点にLO村田穀(ゴール成功)がそれぞれスコアした。36分にはモールの脇からSH櫻井朋広が抜け出し(ゴール成功)、40分にはまたもモールを起点に、SO田村優がチームの4トライ目を記録(ゴール成功)。大量ビハインドを背負ったチームの追い上げにスタンドは沸いた。
試合後、「残念なゲームだったけど、最後はNECらしいプレーでプライドを見せてくれた」と敗れた岡村要監督。「セットプレーは前後半とも良かった」としながら、「前半はボールキャリアがボールを持っておくなど、シンプルなことができなかった。ディフェンスラインの面が崩れなかった。(自軍がキックした際の相手の)蹴り返しも素晴らしく、ウチは自陣から脱出できなかった」と、優位だった点を勝敗に繋げられなかった理由を説明した。同じ件について、勝った中嶋則文監督は「そこに固執していなかった。ブレイクダウンもやられている、というより、インパクトのある個人に差し込まれていた(だけ)」と説明。主力選手の出ていた時間帯は選手間で密なコミュニケーションが取れており、それが相手の「個人」の力にも屈せずプレーできたと考える。ただ試合全体を通しては、「前半はやろうとしていたことが100パーセントに近い形で実行できた。後半は私たちのディフェンスシステムを守れずに失点した」と反省した。
マン・オブ・ザ・マッチにはデラーニが選ばれた。
(文・向 風見也)