国内
2011.11.06
際立つ「無形の力」 前王者パナソニック
無形の力で勝った。2011年11月5日、柏の葉公園総合競技場でNECとのトップリーグ第2節に挑んだ、前年度王者のパナソニックのことだ。
セットプレー、球の争奪戦ではNECが健闘する。が、後の勝者である中嶋則文監督は言う。相手はこうした肉弾戦に強い反面、「ボールに人が多く寄る」と。「それに対し、幅を持って攻撃する」。前半26分、パナソニックは敵陣ゴール前右側で何度も接点を作る。最後は逆側で待つWTB三宅敬が無人の空間を突く。SH田中史朗、SOマイク・デラーニも、相手の陣形を見つつ味方と意思疎通を図り、効果的な走りとパスを見せる。前半、チームは5トライを奪取。守備でも隙の少ない網を、やはり細かな意思疎通で機能させる。パワー、スピード、スキルとは別な無形の力で、スコアを31-0とする。
後半は体調面が考慮され、主力が相次いで退く。経験の浅い者同士となり「コミュニケーションが欠けていた」と田中。直後、NECは強みを得点に繋げ、終盤20分で4トライを取った。38-26。緊急時でも隣の仲間と情報交換し、チームの原則を守る。強豪の主軸のそんな無形の力は、かえって際立つこととなった。
(文・向 風見也)