国内
2011.04.18
宮城県東松島市の実家が被災したリコー池田 「ここ最近は母のために」
日本ラグビー協会が17日に開催した、東日本大震災復興イベント『RUGBY:FOR ALL ニッポンのために!』に、リコー所属で宮城県東松島市出身のSH池田渉が参加した。池田は、伯父が今回の津波で亡くなったと告白。トークイベント内で震災時の状況を語った。
母は震災時に文房具店の仕事で実家を離れていたため無事だった。とはいえ、テレビに映された現地映像を見た池田は、「もし(震災時に)にそこ(実家)にいたら無理とわかっていたので。はっきり言ってあきらめていた」。震災数日後に安否の電話を受けたが、「それもつながりが悪くすぐ切れた。でも、とにかく無事だったのがわかった」という状態だった。船乗りだった伯父の悲報は、さらに時を置いて知ることとなった。「遠くから水の音が聞こえ、次の瞬間には足元近くに上がっていて、その時には溺れている状態。伯父の家は(池田の)実家から100メートルくらい内陸。津波の被害がここまでとは…」。帰郷も考えたが、母からは「妹(池田の叔母)の所に住んでいるし、物資も届いてきているから大丈夫。逆に(原発やガソリンの供給が)心配だから戻って来なくていい。そっちでラグビーを頑張りなさい」と、伝えられた。
「母の声を聞いてよりいっそう頑張らなきゃとは思いました。『僕が活躍して新聞に載ったりすることですごく勇気をもらう』と。今までは自分のため、チームのためにラグビーをしてきましたけど、ここ最近は母のためにやっている部分はある」と、現在の心境を語った。今年11月で36歳。40歳まで所属チームのレギュラー格であり続けることを目標としている。
(文/向 風見也)