女子南アフリカ代表の「修正力」。殊勲の「11」は「アメージング」と笑み。
女子南アフリカ代表は、失敗をそのままにしなかった。
7月24日、岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで日本代表に6-15と敗れていた。ハンドリングエラーを重ねた。30日、埼玉・熊谷ラグビー場での再戦へ、攻めを工夫した。
その傾向を、日本代表でFLの齊藤聖奈は肌で感じた。
「前回の南アフリカ代表はFWを中心に(接点周辺へ)攻めてきていたのですが、今回はBKで外まで展開して、強みのスピード、フィジカルで勝負してきたという印象でした。修正力の高いチームだと感じました。私たちがその修正力に対応できなかった。FWのところでディフェンスの層を厚くしたままで、外のディフェンスが薄くなった」
序盤こそ、日本代表が初戦に続いて鋭いタックルを連発していた。しかし時間を追うごとに、南アフリカ代表がその圧力をかいくぐるようになった。
前半32分、5点差を追う南アフリカ代表のSO、リビー・ヤンサファンレンズバーグが魅する。
外側からせりあがる日本代表の防御をパスダミーでいなし、突破した。
自陣10メートル線付近からハーフ線を通過し、左大外で余ったWTBのアヤンダ・マリンガへパス。マリンガはそのまま駆け抜けた。7-5。
続く34分にも、南アフリカ代表は持ち味の「スピード、フィジカル」を披露する。
自陣からの連続攻撃で、日本代表のタックルを次々と弾く。最後はマリンガがハンドオフを交え、50メートル超を走破する。12-5と勝ち越す。
結局、最終スコアは20-10。
殊勲のマリンガは、「日本の防御は素晴らしいと認識していた。チャンス、スペースを活かそうと思っていました」。試合後の会見では、LOで主将のノロシンディソ・ボイと手を握り合っていた。
「スピードは自分の武器だと思っていて、コーチからは普段から『自分らしく行け』と言われています。きょうもその通りにできたと思っています。気分はアメージングです」
折からのウイルス禍もあってか、南アフリカ代表は昨年まで長らく活動を止めていた様子。そのため連係面は発展途上だと、陣営側は認める。
それでも今度のツアーでは、持ち前の爆発力を披露できた。リベンジを果たした2戦目のフィールドで、楽しそうに歌っていた。