「ふがいない結果」に覚醒。流経大柏・小野塚勇太、日本一への過程にこだわりあり。
成長の証を示した。
流経大柏ラグビー部3年の小野塚勇太が、長野・菅平高原での全国高校7人制大会で鋭さをアピール。
初日の7月16日には予選プールを2戦全勝とし、2日目のカップトーナメント初戦では効果的なジャッカルとフットワークを披露。岐阜工を40-5で下す。
続く2回戦では、國學院栃木に12-17と惜敗も、前半6分には一時同点のトライを決める。防御の隙間を駆け抜けたうえ、追いすがるタックラーを鮮やかにかわした。約80メートル、走り切った。
背後へのキックへも鋭く反応。FBを務める15人制での活躍も予感させた。
「試合前、監督から『このゲームではお前がキーマンだ』と言われていました。他のリーダーにばかり頼ってはいられないと思いました。(トライは)日々の練習の成果です。走ることには誰にも負けない自信と責任があります」
身長175センチ、体重73キロ。幼稚園児の頃からタグラグビーを始め、小学2年頃から本格的にこの競技にはまった。いつしか、チャンピオンチームの仲間になるよりチャンピオンチームを作りたい人になった。
所属先だった秦野ラグビースクールは比較的、人数が少なく、近隣の強豪に挑む立場だった。小野塚自身は中学時代に神奈川県スクール代表へと選ばれたが、地元の名門たる桐蔭学園には進まなかった。
2020年度まで全国2連覇の桐蔭学園がかねて関東の雄と見られたが、「一番、強い桐蔭学園を倒したい、という思いがあって…」。頂点に立ったことのない高校を選び、クラブで上昇気流に乗りたいと考えた。
同じ関東圏でも最高位が全国4強という流経大柏に誘われ、即決した。
「神奈川を出るからには、日本一を獲れるチームに行きたいと思いました」
願いは叶っていない。昨季の全国大会では、3回戦敗退。準優勝する國學院栃木に7-27で屈した。1軍入りを果たしていた小野塚も、自身の働きには満足できなかった。
「準優勝する國學院栃木との試合に14番(WTB)で出させていただいたのですが、その時は本当にふがいない結果で、自分としても何もできなくて…」
ラストイヤーはエースになる。その決意のもと、普段の取り組みを改めた。体力強化メニューでは先陣を切って走り、疲れた味方に声をかけた。夏の7人制大会では、その意識を体現した。
大会3日目に唯一組まれた茗渓学園戦(●26-33)では、下級生にチャンスを与える方針のもと後半1分に交代。それでも信頼は揺るがない。相亮太監督はこうだ。
「要所、要所で(トライを)獲ってくれる。責任感はあるし、本当にラグビーを楽しんでいる。最初の2年間は精神的にもろいところもあったんですが、この春から本当に化けた。楽しみですね」
本人は簡潔に言う。
「今年のテーマは必至。必ず、至るという意味です。日本一に向け、頑張っていきたいです」
悔しい経験から、中心選手としての自覚を育んできた小野塚。入学前の決意を果たすべく、晩夏も秋も走る。