英・プレミア15s決勝で小林花奈子フル出場。父も渡英し、見守る
イギリス中がエリザベス女王即位70周年を祝う連休の最中、イングランド最高峰の女子リーグ、プレミア15s決勝がおこなわれた。
同リーグは2017年に発足。新型コロナウィルスの影響で2019- ’20年シーズンは中止となっており、今回が4度目のファイナルだった。
これまで3度あった決勝の対戦カードは、すべて同じだった。常に覇権を争ってきたのは、ハーレクインズ・ウィメン(Harlequins Women)とサラセンズ・ウィメン(Saracens Women)だ。
その2強に、今年はエクセター・チーフス・ウィメン(Exeter Chiefs Women)が割って入った。リーグ戦を2位で終え、準決勝のブリストル・ベアーズ・ウィメン(Bristol Bears Women)戦を制し、初の決勝進出を決めた。
そのチームの躍進を日本人2選手が支えた。加藤幸子と小林花奈子(ともに、日本では横河武蔵野アルテミ・スターズ)だ。
決勝ではフロントローで活躍してきた加藤はケガで欠場。しかしCTB小林は出場した。
対戦相手のサラセンズはリーグ戦を首位で終えた強豪。現在世界ランキング1位であるイングランド代表の中核メンバーを複数擁する布陣だ。
そんな相手に対し、キックオフ後最初に会場を沸かせたのは小林だった。CTBの位置でパスを受けると、パスダミーで相手を外す。ランで10m以上ゲインした。
ディフェンスでも相手の強力FW陣に果敢にタックル。いくつも見せ場を作った。
最終的にはサラセンズが勝利し、3度目の優勝を飾った。しかし、エクセターも初の決勝進出で得た経験は大きかった。
試合後、悲願の優勝に届かず、涙を流す小林の姿があった。特に感情が溢れ出たシーンは、この日のために日本から応援に駆けつけた父と話した時だった。
父は「大丈夫、大丈夫」と涙が止まるまで繰り返し言葉をかけ、娘の異国の地での奮闘を労った。
小林は決勝について、「楽しかった。それが一番です。フィジカルの差を凄く感じました」と話した。
今季の経験について尋ねると、「チームに加わった時には英語がまったく喋れず、試合中にコミュニケーションが取れなかった。しかし当時と比べて数倍もコミュニケーションが取れるようになった。フィジカルにも慣れてきて、大きい選手の倒し方も身についた」と充実ぶりを伺わせた。
2021年9月からの長いシーズンを経て、より一層タフになったCTBの進化から目が離せない。
女子ラグビーが熱い。