計算に基づくインターセプト。サンゴリアス尾崎晟也は「つながり」に自信。
ギャンブルではない。
5月21日、東大阪市花園ラグビー場。東京サントリーサンゴリアスの尾崎晟也は、東芝ブレイブルーパス東京とのリーグワン1部・プレーオフの準決勝で鋭い読みを披露。序盤のピンチを脱出する。
最後は30-24で勝利。前年度までのトップリーグ時代から通算し、5季連続で国内タイトルのファイナリストとなった(日本選手権を含む)。トップリーグと合わせて史上最多となる、6度目の頂点を見据える。
「ディフェンスは、今季、自分のなかで意識的に取り組んできましたし、チームとしてもシーズンが深まるにつれよくしてきていました。自信を深めて、つながりを持ってできている」
ひとまずこの言葉を裏付けたのは、前半19分頃。0-3とリードされるなか、自陣ゴール前右でフェーズアタックに対峙する。
数的不利を強いられるなか、1人目、2人目と、パスの受け手の目の前を向かって左から右へなぞる。3人目の捕球した瞬間、その懐へ刺さる。落球を誘う。
そして続く24分、再び自陣22メートルエリアである。ブレイブルーパスの深めの攻撃ラインに対処する。
PRの三上正貴が斜め後方に回そうとしたところ、受け手であるFLのリーチ マイケルの目の前に駆け込む。インターセプト。そのまま向こう側のインゴールまで駆け抜け、直後のコンバージョン成功で7-3と勝ち越した。
この時は、パスを投げるのがFW最前列の選手だったとあり、尾崎晟は「チャンスだと思いました。相手を見極めて判断しました」。普段はパスコースを塞ぐか、受け手を順に追いかけるかは安易に決めつけず、常に「どっちにでも行ける立ち位置」を取るようにしているという。
自身より接点寄りの位置に2人の味方が並んでいたとあり、こうも続けた。
「インサイドでディフェンスプレッシャーをかけてくれたので、(インターセプトを)狙いやすかった」
身長174センチ、体重86キロの26歳。かねて相手の死角を突く感性がある。この午後は試合終盤には、通れば追加点につながりそうなバックフリップパスも披露する。
弟の尾崎泰雅への1本は、前方に投げる反則を取られた。「ちょっと(弾道が)前、出ちゃいました」と残念がった。ただしその嗅覚は、防御でなら十分に活かされた。そつのなさが増したと見られてか、5月中旬、日本代表候補入りを果たしている。
決勝の相手は、堅守で光る埼玉パナソニックワイルドナイツ。かたやサンゴリアスの真骨頂は「アグレッシブ・アタッキングラグビー」である。両極端な「矛と盾」の様相を呈するなか、尾崎晟は守りの延長線上でスコアボードを揺らしうる。