国内 2022.05.25

計算に基づくインターセプト。サンゴリアス尾崎晟也は「つながり」に自信。

[ 向 風見也 ]
計算に基づくインターセプト。サンゴリアス尾崎晟也は「つながり」に自信。
リーグワン準決勝、インターセプトから独走するサンゴリアスの尾崎晟也(撮影:早浪章弘)


 ギャンブルではない。
 
 5月21日、東大阪市花園ラグビー場。東京サントリーサンゴリアスの尾崎晟也は、東芝ブレイブルーパス東京とのリーグワン1部・プレーオフの準決勝で鋭い読みを披露。序盤のピンチを脱出する。

 最後は30-24で勝利。前年度までのトップリーグ時代から通算し、5季連続で国内タイトルのファイナリストとなった(日本選手権を含む)。トップリーグと合わせて史上最多となる、6度目の頂点を見据える。

「ディフェンスは、今季、自分のなかで意識的に取り組んできましたし、チームとしてもシーズンが深まるにつれよくしてきていました。自信を深めて、つながりを持ってできている」

 ひとまずこの言葉を裏付けたのは、前半19分頃。0-3とリードされるなか、自陣ゴール前右でフェーズアタックに対峙する。

 数的不利を強いられるなか、1人目、2人目と、パスの受け手の目の前を向かって左から右へなぞる。3人目の捕球した瞬間、その懐へ刺さる。落球を誘う。

 そして続く24分、再び自陣22メートルエリアである。ブレイブルーパスの深めの攻撃ラインに対処する。

 PRの三上正貴が斜め後方に回そうとしたところ、受け手であるFLのリーチ マイケルの目の前に駆け込む。インターセプト。そのまま向こう側のインゴールまで駆け抜け、直後のコンバージョン成功で7-3と勝ち越した。

 この時は、パスを投げるのがFW最前列の選手だったとあり、尾崎晟は「チャンスだと思いました。相手を見極めて判断しました」。普段はパスコースを塞ぐか、受け手を順に追いかけるかは安易に決めつけず、常に「どっちにでも行ける立ち位置」を取るようにしているという。

 自身より接点寄りの位置に2人の味方が並んでいたとあり、こうも続けた。

「インサイドでディフェンスプレッシャーをかけてくれたので、(インターセプトを)狙いやすかった」

 身長174センチ、体重86キロの26歳。かねて相手の死角を突く感性がある。この午後は試合終盤には、通れば追加点につながりそうなバックフリップパスも披露する。

 弟の尾崎泰雅への1本は、前方に投げる反則を取られた。「ちょっと(弾道が)前、出ちゃいました」と残念がった。ただしその嗅覚は、防御でなら十分に活かされた。そつのなさが増したと見られてか、5月中旬、日本代表候補入りを果たしている。

 決勝の相手は、堅守で光る埼玉パナソニックワイルドナイツ。かたやサンゴリアスの真骨頂は「アグレッシブ・アタッキングラグビー」である。両極端な「矛と盾」の様相を呈するなか、尾崎晟は守りの延長線上でスコアボードを揺らしうる。

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