フランスラグビーは女子も好調、充実。各クラブの強化も急速に進む
フランスは女子ラグビーも好調だ。11月のテストマッチでは、若い選手をデビューさせながら、来年のワールドカップの初戦で対戦する南アフリカに大勝した後(46-3)、ブラックファーンズ(NZ女子代表)に2戦2勝し(38-13、29-7)着々と準備を進めている。
その代表チームから、今年のワールドラグビーのドリームチーム・オブ・ザ・イヤーに6人選ばれており、イングランドの5人を超えて最も多く、フランス女子代表チームの勢いが感じられる。
女子ラグビーの発展は、フランス協会のベルナール・ラポルト会長が就任前の会長選挙の時から最優先課題のひとつに挙げており、代表選手とプロ契約を結び、選手がラグビーに集中できるコンディションづくりに取り組んでいる。
一方クラブチームレベルでの進化も近年著しく、プロ化も時間の問題ではという声も聞かれる。
この夏には、今まで女子チームを所有していなかったラシン92も、地元のナンテールの女子クラブの選手を主体にして女子ラグビーに参入した。「男子プロチームのスポンサーに打診したらすぐに快諾、女子チームのサポートを引き受けてくれた」とジャッキー・ロレンゼッティー会長は話す。
「4部リーグからのスタートだが、5年後には1部に昇格させたい」と抱負を語っている。
『エリート1』と呼ばれる女子1部リーグは、今季は14チームが2つのプールに別れて行われているが、来季から12チームに絞られる。全体のレベルを上げ、より競争力のあるアトラクティブなリーグにして、ファンやメディアを惹きつけることが目的だ。
実際、今季7節を終了した時点で、40点以上差のついた試合が10近くあり、中には70点差というスコアも見られ、クラブ間での格差が開いていることが窺える。
群を抜いて強いのがモンペリエとトゥールーズで、どちらも男子プロチームのトレーニング設備やメディカルサポートの利用などの支援を受けている。
昨年優勝したロマニャもクレルモンのプロチームと提携している。トップ14の運営団体であるLNRが2016年に発表した『2016-2023年の戦略的プラン』に「トップ14とプロD2(プロ2部リーグ)の各チームが女子チームを傘下に置くこと」と記されており、ボルドー、リヨン、ポーも女子チームと提携しサポートを始めている。
一方、地元にプロチームがないクラブもある。フランス北部のリールは1部リーグに在籍して10年の歴史を持ち、2016年には優勝もしている。ブルターニュ地方のレンヌも2005年からエリート1に在籍しているが、地元には頼りにできるプロチームがない。しかし、リールは地方議会から、レンヌはレンヌ市から資金援助を受けている。
「何がなんでも残留することが目標。選手をリクルートするために1000〜2000ユーロ(約13万〜26万円)使うクラブもある。こんなこと今までなかった。」とリールのコーチのアレクサンドラ・ペルチュスが言うと、「地方の若い才能を惹きつけて育てなければならない。その中には金の卵もいるかもしれない」とリールの会長のローラ・ディミュジオが続けた。
代表選手を除けば、選手はアマチュアで平日の昼間は学生だったり、働いたりしている。それでも残留をかけて激しい戦いが繰り広げられている。