【RWCセブンズ現地発】 世界での立ち位置明確に。日本女子、立ち止まらず
何度も好走を見せた山口真理恵。2度目のW杯も勝利に届かず。(撮影/志賀由佳)
酷暑のモスクワ。桜の花は咲かなかった。ワールドカップ・セブンズに参戦していた女子7人制日本代表は、勝利を手にすることなく全日程を終えた。
6月29日、プールDでの戦いを3戦全敗で終えたサクラセブンズ。30日におこなわれたボウルトーナメントでは準々決勝でオランダと対戦し、14-19で敗れた。奪われた19点はすべて前半だった。
最初に与えたトライは反則から仕掛けられた。2つめはターンオーバーから。3つめは、PKから攻め、鈴木彩香が相手ゴール前まで迫ったのに倒され、サポートの遅さを突かれてボールを奪われた。90m以上を走り切られた。
体格とパワーの差は大きかった。その中で、後半に2トライを返せたのは徹底してフィットネスを高めてきたからだ。しかし、それを相手が疲れてきたときにしか発揮できない。決定機を仕留めきれないから追い越せない。パスの質。走りきれるスピード。判断のはやさと正確さ。個々がまだまだ、インターナショナルプレーヤーのレベルに達していない。
チームが進化を続けているのは疑いのない事実だ。前回大会も経験している山口真理恵は、「前回大会、チームは全試合で2トライ。今回は4トライ。そこだけでも、日本が少しずつ成長しているのは分かると思います。でも、他の国々も進化している。そこを詰めていくことを考えないと」と語った。
豪州留学の経験もある山口は、チームとしての活動経験を積み続けると同時に、個々の経験値アップも進化の速度を上げる必要条件と言う。
「みんな力をつけている。可能性もある。ただ、試合の運び方とか、そういうものを身につけていかないと、持っているものを使えない。海外で経験を積むのも手だと思う。そういうもので差を詰めないと、日本のスタイルも生きない」
浅見敬子ヘッドコーチも同様のことを言った。
「これまで費やしてきた(年間200日近くなんらかの形で集まってきた)時間は、チームを作る上で必要な時間でした。20人いるスコッドを成熟させてきた。これからは個々をもっともっと高めていかないといけない。新たな人材の発掘も含め、いろんなことをスピードを上げてやっていきます」
「世界の中での立ち位置がはっきりと分かりました。でも、オリンピックや金メダルが遠くなったとは思いません。やらなければいけないことを、必死でやっていく」と語ったのは中村知春主将だ。
桜は咲かなかったけれど、枯れてはいない。