国内 2013.06.30

帝京大、早大守備に苦しみつつ勝利「(今季は)ワセダとの戦い」(岩出監督)

帝京大、早大守備に苦しみつつ勝利「(今季は)ワセダとの戦い」(岩出監督)

 大学選手権4連覇中である帝京大は30日、同4強で関東大学対抗戦Aのライバルでもある早大と練習試合を行った。相手の鋭い守備に圧力を受けながら、22−17で辛勝した。岩出雅之監督は「内容云々よりも(ともかく)、勝ち切ったから」と、問題視するそぶりは示さなかった。



 今季は選手権の5連覇とともに、日本選手権でのトップリーグ勢撃破を狙う帝京大。本来は1対1の局面の制圧を目指すが、この日はCTB坪郷勇輝ら早大守備網の鋭いタックルを前に、足止めと落球を重ねた。4月下旬から約2カ月間続いた春季大会Aグループでは、23日に東海大(昨季の関東大学リーグ戦1部優勝)との最終戦を48−15で制して全勝優勝していた。その好結果が災いしたか。



 岩出監督は「ずっとビッグスコアで勝ってきたから、ロッカールームから出てくる時の雰囲気に危機感がなかった」。早大のことは、「多分、こっちのことを研究しているでしょう」と分析。ただ、「うちはわかった上でそこ(早大の守備が張られた場所)へ行った。春から積み重ねたものがどれだけ出せるかなと思って」とも続ける。この時期は戦術上の駆け引きより、個々の強さをどれだけ発揮するかを注視していたようだ。



 かたや早大は、春から個々の走力、筋力の強化を掲げていた。「もともと去年からディフェンスシステムは安定していた。あとは(個々のタックルスキルと肉体を)どれだけ引き上げるか。春はそこに絞ってやってきていた」と後藤禎和監督。しばし帝京大を苦しめたタックルは、その成果だと話した。



 2日の宮城・石巻で慶大(昨季の対抗戦A5位)に5−43で敗れるなど、春季大会Bグループで苦しんでいた。しかし、「負け惜しみではなく、僕自身は手応えを感じていた」と指揮官は言う。この日は、攻めても少ない好機を確実に活かした。試合開始早々に先制し、7−19で迎えた後半もしぶとく追い上げ一時は2点差に迫った。後藤監督は、「勝ちたかったのは正直なところですけど、悔しさを残して、ある程度の内容のある試合ができた。劣勢局面で動じないメンタリティーがついてきている。少しはホッとした」と振り返った。



 結局、帝京大がノーサイド間際のペナルティゴールで勝ち切った。しかし、「研究してくることと激しさに、ワセダらしさがあった」と岩出監督は言う。日本ラグビー界有数の伝統校に強いライバル意識と畏敬の念を抱いているのは確かだ。この午後の戦いを振り返り、「思った通り、ワセダとの戦いです」と今季を予測した。


(文・向風見也)


 

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