【ラグリパWest】次世代のラグビー選手を作る。 近鉄ライナーズ・アカデミー
近鉄ライナーズは敗れた。
パナソニックに7−54。4月25日、トップリーグのプレーオフ2回戦である。
二部のトップチャレンジにいるライナーズと一部の優勝候補との差は大きかった。
2021年度のシーズンは終わる。
その負けに関わらず、一方で紺×エンジのジャージーをつなぐ活動は続いている。小中学生のための有料のラグビー教室、正式名称は「HOS×LINERSアカデミー」である。
私企業のHOS(ホス)は花園ラグビー場の管理を東大阪市から任されている。ライナーズの本拠地は同時にアカデミー会場にもなる。その指導員たちはチーム所属である。
生徒のひとり、小5の冨田翔(とみた・しょう)のコメントは弾む。
「レベルの高い仲間、基礎からしっかり教えてくれるコーチ、みんなで天然芝の上でラグビーができて楽しいです」
冨田は2学年下の弟・諒(りょう)とともに参加している。
このアカデミーはラグビースクールなどで、競技経験のある子供を対象にしている。冨田の「レベルの高い」という表現はそのことを差している。
「初心者はラグビースクールに行って下さい、と言っています。生徒の取り合いをしたくないので、すみわけをしています」
ライナーズのGMである飯泉景弘は話す。現場の最高責任者の言葉通り、冨田兄弟は地元の花園ラグビースクールに在籍しながら、このアカデミーに通う。
クラスは3つ。小学校中学年(3、4年)、同高学年(5、6年)、そして中学。定員は各クラス30人をメドにしている。
開講は週1回。火曜は中学年、水曜は中学、木曜は高学年。週末に開催されるラグビースクールとは、基本的にかぶらない。
現在、小学校の2クラスは若干、中学はまだ空きがある。
1回の指導は80分。学校終りの18時15分から19時35分まで。練習はナイターで、ライナーズが普段使っている第2グラウンドなどで行われる。
指導の中心はライナーズの2人のコーチだ。チームではディフェンス担当の佐藤幹夫とコンディショニング担当の寺田京太である。41歳の佐藤が技術を6歳下の寺田は体作りを主にする。トップ選手を教えているコーチ陣の指導は、このアカデミーの魅力のひとつでもある。
飯泉はアカデミー創設の理由を話す。
「元々、ミキオが『やってみたい』と言っていました。そこに新リーグの参入要件のひとつとしてアカデミーがあった。ラグビーの街として知られる市のためにも、チーム以外の貢献もしたかったのです」