【ラグリパWest】次世代のラグビー選手を作る。 近鉄ライナーズ・アカデミー
佐藤は、息子の競技開始に合わせて、現役選手と兼務の形で、生駒少年ラグビークラブで指導員をする。楕円球の普及・発展のためにも、子供たちへのコーチングは欠かせない、と考える。それに、チームは乗る。開校したのは昨年11月だった。
佐藤と寺田のサポートにウィル・ゲニアが来たこともある。
「さすがに中学生は彼の顔をわかっていて、緊張していました」
寺田は表情を崩す。オーストラリア代表キャップ110を誇る世界的なSHのみならず、自身のトレーニング後に、指導を手伝う選手も少なくない。
この4月から新年度が始まった。開校して半年以上が経った。寺田の笑みは続く。
「楽しいですよ。子供たちは成長がすぐ見えます。練習の最後でスキルが上がります」
現在、大阪はコロナによる非常事態宣言が出ているため、アカデミーも休講中だ。
「宿題を動画で送っています。ハンドリングとか、減速や止まり方の仕方など、これまでやったことの復習ですね」
できることをやっている。
冨田兄のコメントは明るく続く。
「毎月、違った内容の練習をするのも、その日に習った練習を家に帰って、弟と復習するのも楽しいです。これからも、色んなことをコーチから吸収して頑張っていきたいです」
佐藤は始まったばかりのアカデミーで、その先を見る。
「今の形では、小学校から初めても、中学校で僕らのコーチングは終わってしまいます。将来的には、サッカーのように続けてもらうことはできないか、と考えています」
サッカーはユースに代表される下部チームを持ち、優秀な選手はそこから引き上げ、トップチームの試合に出場させる。チーム一体となった強化がある。
企業スポーツのラグビーはプロのサッカーと同じ俎上(そじょう)に乗せられない。しかし、いつの日か、アカデミーの教え子が、ライナーズを引っ張る夢を見る。
「この花園のグラウンドで何かを感じてくれたら。そして、また戻ってきてくれれば、うれしい限りですね」
佐藤は視線を彼方に向けた。
■申し込み・お問い合わせ
東大阪市花園ラグビー場(電話番号=072−961−3668、受付時間は10時〜17時)
月会費=小学生6600円、中学生7700円、ユニフォーム代4400円(金額はすべて税込み、支払いは入会時)