慶應がまたもロスタイムに逆転勝ち!帝京倒し、対抗戦3位で選手権へ
ロスタイムでPGを決め、逆転勝利を収めた明大戦に続き、慶大がまたしてもラストワンプレーで勝利を決めた。12月6日、関東大学対抗戦Aの慶大対帝京大の試合がおこなわれ、慶大が30―27で帝京大を倒した。
帝京の重量ある激しいアタックと、慶應の手堅いディフェンスのマッチアップに注目が集まったこの一戦。互いが持ち味を出し合い、大接戦となった。
先制したのは帝京大。開始早々のアタックで相手のノットロールアウェイを誘った。ケガで出場できない主将・松本健留に代わってゲームキャプテンを務めるFB奥村翔がPGを決めた。
お次は慶應。6分、相手のペナルティを得て敵陣深くまで入ると、ピック&ゴーで7フェイズを重ね、最後はスタメン抜擢のルーキー・NO8福澤慎太郎がインゴールにねじ込んだ。さらにPGを加え、10―3とした。
その後は互いの強みの出し合いとなった。帝京がアンストラクチャーで奥村やWTBミティエリ・ツイナカウヴァドラが得意のランでビッグゲインを決めれば、慶應はタックルとジャッカルで自陣深くのピンチをしのぐ堅いディフェンスを見せた。
しかし28分から帝京CTB尾﨑泰雅の活躍が際立つ。相手のハイパントの処理ミスにつけ込み、ラインぎりぎりで飛び込みトライ。前半終了直前には素早く展開したアタックに参加し、途中交代のWTB平坂海人のトライにつなげるパスを放った。13-10と再逆転して迎えた後半も、尾﨑は外で待つツイナカウヴァドラへ絶妙なバックフリップパスを披露。2本目のアシストを記録した。
後半開始早々に、シンビンをもらい14人となった慶應。さらに10-20とこの日最大の点差がついた苦しい状況だったが、タイガージャージーは落ち着いていた。
「苦しい時間帯や状況は練習前から想定済みで、自分たちはあくまでチャレンジャー。99㌫くらいはそういう時間帯というのを全員がわかっていた。だからチームトークでも、『そういう状況になっただけだ』と。悪い流れにそのまま落ち込むことなくいけたことで、自分たちのペースに手繰り寄せられた」(LO相部開哉主将)
得点された直後、この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたFL山本凱がジャッカル。流れを引き寄せた。11分、29分にラインアウトモールでHO原田衛が連続トライ。同点に追いついた(20-20)。
終盤、さらにお互いが1トライずつ奪う。しかし、あとにトライを取った慶應がコンバージョンを決めれば同点となるところで、キッカーのFB山田響は外してしまう。
「響はいいところで決めますし、いいところで外すので、もしかしたら外すかもと思って見ていました(笑)。本人にとってもいい勉強になったと思います。練習ではほぼ外さない男なので、プレッシャーを体感してまた大きくなるはずです」(慶應・栗原徹監督)
時計は42分を回っていたが、ロスタイムが残っていた。ラストワンプレー。ここからの我慢比べに勝ったのが慶應だった。奥村は「苦しい場面でミス一つ、タックルミス一つ、ペナルティ一つ…。やはり慶應大学さんがやりきったゲームだった」と振り返る。帝京はペナルティを重ね、自陣深くまでの侵入を許してしまった。ピック&ゴーで12フェイズを重ね、最後は山本が抑えた。
「最後の最後取り切れたのは、あのエリア(22㍍内)で攻め続けられたから。正直慶應としては課題としていて、そこを重点的に準備してきたので、その成果が出た」(相部主将)
栗原監督はこうだ。
「同点にできず、キックオフレシーブから攻めなくてはいけないことが決まった。もし同点にできていたら逆に難しかったかもしれません。同点で終えるのか、最後まで攻めるのか中途半端になり、ペナルティを献上して最後にPGを決められて…となったかもしれない。響が作ったドラマチックな試合だった」
これで5勝2敗の勝ち点20とした慶應が3位に浮上。帝京が4勝3敗、勝ち点16で4位に回った。
帝京も敗れはしたが最後まで戦い抜いた。奥村は「あと一歩というゲームだった。ただ全然ネガティブには捉えていなくて、組織としての力は上がってきていますし、大学選手権が楽しみです」と前を向く。岩出雅之監督も同様だ。
「連覇を知る最後の代と言われますが、それよりも自分たちの力で勝ち取ることが大切。新しい帝京のスタートを作ってくれればと思いますし、いいまとまり、雰囲気でやれています。ここからです」
12月13日におこなわれる大学選手権の3回戦、慶大は京産大と、帝京大は同志社大と花園で対戦する。