大学からラグビーを始めた男、初舞台で暴れる。早大FL坪郷智輝
指揮官の期待に応えてチームの勝利に貢献した。
11月1日、秩父宮ラグビー場で行われた帝京大戦に45-29と快勝した早大のFL、6番の坪郷智輝(つぼごう・ともき)だ。チームは関東大学対抗戦Aの開幕から続ける勝利を4とした。
坪郷はモールからのトライを決めるとともに、よく走り、多くのタックルを見舞ってマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
川越東高校時代は野球部。一浪して早大に進学(法学部)したのを機にラグビーを始めた。兄・勇輝さん(早実)も早大ラグビー部で活躍した(CTB/2013年度の4 年生)
この日の帝京大戦が初の対抗戦出場で、初めての秩父宮ラグビー場だった坪郷。チームは「接点で前に出る。それを80分続ける」をテーマに戦いに臨み、実際にやり切った。
171センチの6番は、その象徴だった。
相良南海夫監督は、「当たりの強い相手。(坪郷には)細かいことを抜きに、体を張り、タックルしてくれることを期待して起用した。初出場ながら、その通りの、いい働きをしてくれた」と責任を果たした4年生を愛でた。
低く、出足鋭いタックルを繰り返した本人は、「前に出て接点で勝つことだけを考えた」と、後半36分で交代するまでの奮闘を振り返った。
「それが自分の強みだし、そこで負けたら勝てないと思っていました。自分の持ち味は出せたと思います」
初めての大舞台に前日は緊張したけれど、「みんなが大丈夫、と励ましてくれてリラックスできました」。それが良い結果を出すことにつながったと言った。
坪郷の人柄を尋ねられたNO8丸尾崇真主将は、「優しい男」と答えて言葉を続けた。
「それでいて、プレーになると狂気じみた気持ちを出してくれる。初めての対抗戦、初めての秩父宮、初めての帝京(戦)でも心配していなかった。むしろ、やってくれると思っていました」
監督や仲間の信頼に応え、自信をつけた坪郷。開幕から圧倒的な強さを見せていた帝京大を倒してチームも手応えをつかんだ。
2年連続の大学日本一を狙う早大にとっては、実り多き一日だった。