【花園予選決勝/東京第1】 全国の頂点も視野にくっきり。久我山快勝
ルーキーコンビのSO豊田康平(写真左)、FB佐藤航大。豊田は田園ラグビースクール出身。
久我山中で、中1からラグビーを始めた佐藤と出会い、中学日本一も経験
(撮影:BBM)
5−53の完敗だったけど、紫紺と白のジャージーは今年もよくタックルした。ひとりが足首をつかむと、もうひとりは腹へ。ダブルタックルで激しく止めることも少なくなかった序盤。しかし、時間の経過とともにギアを上げたのは國學院久我山だった。
11月11日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた東京都の花園予選決勝。第1地区では國學院久我山と明大中野が対戦した。今大会、準決勝まで無失点で勝ち続けてきた久我山は、高校日本代表候補(トライリージョンズ/高校日本代表候補東日本メンバー)を5人擁する15人が先発。SO豊田康平、FB佐藤航大は1年生も、ともに全国中学生大会で日本一を経験している。
勝者は常に先手をとった。先制トライは7分過ぎ。相手ゴール前のラインアウトからモールを組み、PR堀切厚輝がインゴールにボールを押さえた。14分にはFB佐藤のライン参加からゴール前に迫り、インゴールを陥れる。ペースをつかんだ。
しかし明大中野も粘る。18分に相手反則からPKで深く攻め込み、PR永井宗太がトライ。鋭いタックルも見せる内容にチームも盛り上がった。しかし久我山は試合巧者だ。相手に流れが行きかけると手綱をしめる。20分過ぎにラインアウトから連続攻撃、CTB山崎翔がトライを奪い落ち着くと、27分過ぎにも相手反則に乗じて速攻、連続攻撃からCTB上村駿太、33分にはWTB飯山竜太が快足を飛ばしてトライと攻略し、前半で29−5とリードを広げて勝負を決めた。
後半も攻撃の手をゆるめずトライを重ね、最終的に大差をつけて(5−53)花園切符をつかんだ久我山。竹内伸光監督は、「(ディフェンスで)ブレイクダウンにまっすぐ入れていない。もっとコミュニケーションをとっていかないと」と注文を出したが、今年のチームには手応えを感じていると語った。
「就任12年目になるが、サイズのある選手もいるし、身体能力の高い選手もいる。伸びしろもたくさんあると思っています」
見つめている先を、『1月7日』という日付で表現した。
「ここ何年も、ベスト8のところで壁にぶつかっている。ベスト4、その先を狙っていきたい」
前半9分には自らトライを奪い、後半9分にはハイパントをスーパーキャッチ、その後のトライを呼んだNO8田中真一主将は、「もっと反則を減らさないといけないけど、攻撃は悪くなかったと思う」と笑顔を見せた。
SO豊田、FB佐藤の両ルーキーも、初めての『花園』を決めて頬を紅潮させていた。ふたりとも勝利に大きく貢献したものの、発言は控えめ。豊田が「いつもと違う雰囲気だったからか、キックの精度が悪かった」と苦笑すれば、佐藤は「前半はよかったけど、後半に息切れしちゃって」と反省した。
しかし、花園での奮起を誓う強い気持ちもふたり一緒。「ゲームメイクのとき、今日はあまり声が出ていなかった。FWからもそう言われました。『もし間違っていても、俺に従え』というぐらいの気持ちでプレーするのがスタンドオフだと思うので、そういう気持ちでプレーしたい」と豊田が決意表明すれば、佐藤は「FBとしていろんなところで顔を出すのは当然、花園では防御の機会も多くなると思うのでそこでも結果を残したい」と初々しく話した。