布巻のゲキで目覚めた東福岡が筑紫を圧倒、20連覇で花園へ。「大優勝旗を持ち帰りたい」
第99回全国高校ラグビー大会の福岡県予選決勝が11月9日に博多の森陸上競技場でおこなわれ、東福岡高校が筑紫高校を61-0と圧倒し、20年連続30回目の優勝を遂げた。東福岡は12月27日に東大阪市花園ラグビー場で開幕する全国大会に出場する。
東福岡は、前半2分にWTB松岡大河が軽快なフットワークから先制したのを皮切りに、計9トライ。ボールキープでスピーディーなワイド展開を見せ、オフロードの連続、強力なモールドライブでも得点を重ねた。
3年ぶりの全国制覇へ向けて鍛えているディフェンスでは、序盤に自陣22メートルライン付近で相手に約4分間攻め続けられたが耐え、筑紫のFB中洲颯太にビッグゲインされたシーンもあったが、トライを許さなかった。
「ゼロ(無失点)で終えられたのが一番の収穫。しかし、もっとディフェンスを仕上げていかないと全国では勝てないので、もう一回見直して、強化を図っていきたいと思います」と藤田雄一郎監督は言う。
2週間前、ワールドカップ2019日本代表トレーニングスコッドにも名を連ねていたOBの布巻峻介(パナソニック ワイルドナイツ)が指導に来て、「体を当てるのが東福岡だろう。そこの迫力が最近のオマエたちのラグビーには見られない」とアドバイスしてくれたのが大きかったと藤田監督は話す。「彼らもコンタクトの弱い東福岡は見たくない。東福岡の持ち味は、激しさとか、自分から体を張っていくという所。布巻がそれを思い出させてくれました」。
4月に右肩を脱臼し、手術と約7か月のリハビリを経て、今大会の準決勝(11月4日/vs 福岡高校)から本格的に戦列復帰していたキャプテンのCTB廣瀬雄也も、全国へ向けてディフェンスをもっと強化していきたいという。先週まで日本で開催されていたワールドカップを見て印象に残ったのは、ディフェンスの凄さだった。「特にイングランド対ニュージーランド戦を観て、ディフェンスの強いチームが勝つと改めて思いました。イングランドの激しいタックル、速い詰め、そういった部分は見習いたいと思いました」と廣瀬は語り、花園へ向けて自分たちが強みとするディフェンスをさらに鍛えていくつもりだ。
一方、敗れた筑紫だが、今年も勇ましいチャレンジャーだった。
「まず、東福岡のディフェンスがすばらしかったです。トライは取れなかったですが、うちの生徒は最後まであきらめずに、頭から何度もタックルに行って、ノーサイドまでやり切りました。立派だったと思います」
長木裕監督は決勝をそう振り返る。福岡工業との準決勝(14-7で逆転勝ち)から中4日という厳しい日程で臨んだ決勝だったが、「うちは猛練習をしているので、特に問題はなかったです」と言い訳はしない。自分たちのラグビーをさせてくれないのが東福岡の強さだと認め、それでも、「結束」というテーマを掲げた今年の筑紫は向上するためにいろんなことを考え、積極的に取り組み、すごく成長したと誇りに思っている。
久保航キャプテンも、「チーム全員で気持ちをひとつにして、魂のラグビーで、全員で戦えたと思います」と胸を張った。
そんな福岡県の仲間たちを代表して花園に挑む東福岡高校の廣瀬キャプテンは、「久しぶりに福岡に大優勝旗を持って帰れるように頑張ります」と力強く宣言した。