ワールドカップ 2019.10.30

タックルランク上位のジェームス・ムーアは、「傷んでいるが影響ない」と身体を張った。

[ 向 風見也 ]
タックルランク上位のジェームス・ムーアは、「傷んでいるが影響ない」と身体を張った。
スコットランド戦で治療を受けるジェームス・ムーア。W杯は全5試合先発で奮闘した(Photo: Getty Images)


 ラグビーワールドカップ日本大会は10月27日までに準決勝が終わった。選手別のスタッツ上位には、初めて8強入りした日本代表の選手が数多くランクインしている。

 得点数ではSOの田村優が51で目下トップ。南アフリカ代表のハンドレ・ポラード、イングランド代表のオーウェン・ファレルといった決勝戦(11月2日/神奈川・横浜国際総合競技場)に挑むSOにそれぞれ4点、5点差で追われている。田村はペナルティゴール成功数でも11本と現在首位で、ポラードに1本差をつけている。トライランキングでは、WTBの松島幸太朗が5本で2位タイ。27日の準決勝でウェールズ代表WTBのジョジュ・アダムズに抜かれるまで首位だった。

 タフネスぶりがうかがえるタックル数でも、赤と白の戦士たちが上位に並ぶ。トップはウェールズ代表LOのアランウィン・ジョーンズの70本だが、2位、3位には日本代表FLであるピーター・ラブスカフニ、同じくLOのジェームス・ムーア。2人とも今年初めて同国代表資格を取った黒子役で、特にムーアは身体接触の多いラグビーリーグ(13人制)の出身者だ。アイルランド代表に勝った9月28日には、両軍最多となる24本のタックルを放っていた。

「リーグをやっていたことが役立っている。競技特性はそれぞれ違っていて、(リーグでは)タックルは1試合で30回くらいあるんです」

 ムーアは身長195センチ、体重110キロの26歳。オーストラリアのブリスベンで楕円球と出会ったのは10歳の時で、2015年に現在の15人制のラグビーユニオンに転向していた。国際舞台を経験すべく2016年に来日し、研鑽の末に今度の大舞台へ立てた。

 特に2018年には、この国のサンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーで経験を積めた。タックルへの意欲を買われ、「一番、上達したのは自信です」と振り返る。世界ランク上位国のプロ選手との戦いに参加することで、代表戦でも身体を張れるという「自信」を身につけた。

 その延長線上にあったのが、ワールドカップでの献身的なパフォーマンスだった。全5試合に出場するなか、本人はこんな意志を示していた。

「多少、傷んでいるところはありますが、それがプレーに影響するわけではない。この大会に参加している全選手がそうだと思います。精神的にも肉体的にも万全の準備ができています」

 サーモンとサーフィンをこよなく愛するムーアは、福岡の宗像サニックス所属。現在は1月中旬からの国内トップリーグ参戦へ向け、英気を養っている。

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