ワールドカップ 2019.10.30

ガットランド体制、有終の美なるか。ウェールズ、3位決定戦で66年ぶりの打倒NZに燃える。

[ 編集部 ]
ガットランド体制、有終の美なるか。ウェールズ、3位決定戦で66年ぶりの打倒NZに燃える。
2007年12月からウェールズ代表を指揮してきたウォーレン・ガットランド(Photo: Getty Images)


 ウォーレン・ガットランド体制で12年間、テストマッチ150試合を戦ってきたウェールズ代表。通算85勝63敗2分。その歴史には、シックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)優勝4回も含まれ、そのうち3度はグランドスラム達成(2008、2012、2019)、今夏には初めて世界ランキング1位にもなった。ワールドカップでは2度、ベスト4入り。2019日本大会では惜しくも準決勝で敗れ、またもウェブ・エリス・カップ(ワールドカップの優勝トロフィー)には届かなかったが、1987年の第1回大会で記録したワールドカップ史上チーム最高成績の3位に並ぶチャンスが残っている。その試合が、ガットランド ヘッドコーチのもとで戦うラストゲームだ。相手は、大会3連覇の夢破れたニュージーランド代表“オールブラックス”。1953年を最後に勝っておらず、なんとしても倒したい相手だ。

「決勝に残れなかったことで選手はガッカリしているが、オールブラックス相手に歴史をつくるチャンスだ。ウェールズは他の国とはいい成績を残しているが、オールブラックスには66年間も勝っていない。今度の試合は大きなプライドがかかっているし、勝てれば本当に特別なことになる」
 ニュージーランド出身のガットランド ヘッドコーチは、3位決定戦に臨むメンバー発表会見でそう言った。

 準決勝の激闘から中4日という厳しいスケジュール、それに負傷者が相次いだこともあり、スターティングメンバーは9人変更となった。そんな中、もしかしたら最後のワールドカップになるかもしれない、34歳のLOアランウィン・ジョーンズ主将、32歳のHOケン・オーウェンズ、31歳のCTBジョナサン・デーヴィスらが先発する。また、負傷離脱者が出て準々決勝後に追加招集されていた21歳のWTBオーウェン・レーンが背番号14を与えられ、初めてワールドカップでプレーするチャンスをもらった。

「ワールドカップが今回で最後となる選手がいる一方、若い選手の未来のために次の試合でオールブラックスと戦う経験が必要だ。ウェールズのラグビーにとって何が必要かという大局的な見方が大事だ」と指揮官。「将来性のあるトモス・ウィリアムズ(24歳SH)、オーウェン・ワトキン(23歳CTB)、オーウェン・レーン、ハラム・エイモス(25歳FB)などの若い選手に次の試合を経験させるべきだと考えた。アダム・ベアード(23歳LO)やディロン・ルイス(23歳PR)もそうだ」

 ワールドカップで3位決定戦は不要だ、という意見を持つ人もいる。「ボートレースで決めた方がいい」と言った重鎮もいるようだが、チームを去る前に、ガットランド ヘッドコーチは特別な思いを抱いてウェールズ代表指揮官としての最終戦に臨む。
「ウェールズは私に機会を与えてくれ、私はそれを心から愛した。成功ばかりでなく落胆がいくつもあったが、私たちのやってきたことを誇りに思う。最大の想い出はウェールズの赤いジャージーを着た地元の人が笑顔を取り戻してくれたことだ」

 3位決定戦は11月1日(金)、東京スタジアムで18時キックオフ。

<RWC2019 3位決定戦 ウェールズ代表 試合登録メンバー>

1.ニッキー・スミス  2.ケン・オーウェンズ  3.ディロン・ルイス  4.アダム・ベアード  5.アランウィン・ジョーンズ(主将)  6.ジャスティン・ティプリック  7.ジェームズ・デーヴィス  8.ロス・モリアーティ  9.トモス・ウィリアムズ  10.リース・パッチェル  11.ジョシュ・アダムズ  12.オーウェン・ワトキン 13.ジョナサン・デーヴィス  14.オーウェン・レーン  15.ハラム・エイモス

〔リザーブ〕
16.エリオット・ディー  17.リース・カリ  18.ウィン・ジョーンズ  19.ジェイク・ボール  20.アーロン・シングラー  21.ガレス・デーヴィス  22.ダン・ビガー  23.ハドリー・パークス

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