欧州王者ウェールズが南アと肉弾戦へ 勝てばラグビーW杯初の北半球勢同士決勝
オールブラックスの3連覇を阻んだイングランド代表に続いて、もしウェールズ代表が27日の準決勝で南アフリカ代表を倒せば、ラグビーワールドカップ史上初の北半球勢による決勝となる。
「ワールドカップで決勝に進むことは、ウェールズの少ない競技人口(総人口:約314万人、ラグビー競技登録選手:約8万3000人)を考えれば信じられないこと。常に一階級上で戦っているような感覚だ。決勝進出を果たせればとんでもない快挙だ」
レッドドラゴンの愛称を持つ同チームを指揮する、ニュージーランド出身のウォーレン・ガットランド ヘッドコーチは準決勝前の会見でそう言った。
「ただ、まずは一歩ずつ。調子を上げているチームと日曜日に戦わないといけない。南アフリカはラシー(エラスマス ヘッドコーチ)のもとで、自分たちの強みに立ち返るという点で確実によくなった。わくわくしている。先週の試合より楽しみにしているし、(準々決勝の)フランス戦よりも自信がある」
前回大会は準々決勝で南アとぶつかり、終盤に逆転トライを許して涙をのんだ。だがその後、テストマッチ4試合はすべてウェールズが勝っている。今年はシックスネーションズ(欧州6か国対抗戦)で全勝優勝を果たし、悲願のワールドカップ初制覇へファンの期待は高まっている。
12年間務めてきたウェールズ代表のヘッドコーチを、今大会を最後に退任すると決めている名将ガットランドも胸に期するものがある。
「2試合を残しており、(結果次第で)私は二度とラグビーの国際試合に関わることができなくなるかもしれない。そう考えるととてもモチベーションが高まる。おそらく9人か10人の選手にとっても同じような状況で今回が最後のワールドカップになるかもしれないので、この機会を楽しまないといけないし、張り切らないといけない」
残念ながら、バックローのジョシュ・ナヴィディが準々決勝でハムストリングを痛め離脱。さらにFBリアム・ウィリアムズが水曜日の練習中に足首を壊し、今大会の残り試合には出られなくなった。
しかし、負傷でリハビリを続けていたCTBジョナサン・デーヴィスが戦列復帰するのはチームにとって大きい。また、ウィリアムズと同じくワールドクラスのフルバックであるリー・ハーフペニーが15番をつけるため、指揮官は「リーの経験が加わることで違った要素を取り入れられる」と自信は揺るがない。
ウェールズと南アフリカは両チームとも堅守を武器とするが、フィジカルモンスター軍団とも呼ばれる南アに対し、ウェールズのショーン・エドワーズ ディフェンスコーチは激しい戦いになると覚悟する。
「南アフリカの選手は大きいし、ワイドオープンではスピードがある。ワールドカップの全参加チームが400メートルリレーをしたら、南アが最も早いだろう。近年、われわれは南アに対してある程度の成績を残しているが、すべてが接戦だった。ワールドカップではどちらが勝つか予想がつかない。すごい肉弾戦になるだろう」
ウェールズは2011年大会でベスト4入りしたが、そのときのメンバーだった大型ウィングのジョージ・ノースは、「フィーリングは今のチームの方がいいように思う。2011年は我々はあまり注目を集めていなかったが、気持ちの強さで準決勝まで進んだ。今回は実力で勝ち取ったように感じる」と話す。準決勝進出は「私の語彙では十分に表現できない。ともかくすごいことだ」とし、勝てばウェールズの歴史が変わる大一番へ向けこう意気込みを語った。
「80分間集中して、勝ちたい。ワールドカップの試合はどの試合でもものすごいものだが、準決勝は特別だ。私のキャリアの中で最も大きなゲームなるのは間違いない。しかし、来週のもっと大きなゲーム(決勝)に行きたいね」
<RWC2019 準決勝 ウェールズ代表 試合登録メンバー>
1.ウィン・ジョーンズ 2.ケン・オーウェンズ 3.トム・フランシス 4.ジェイク・ボール 5.アランウィン・ジョーンズ(主将) 6.アーロン・ウェインライト 7.ジャスティン・ティプリック 8.ロス・モリアーティ 9.ガレス・デーヴィス 10.ダン・ビガー 11.ジョシュ・アダムズ 12.ハドリー・パークス 13.ジョナサン・デーヴィス 14.ジョージ・ノース 15.リー・ハーフペニー
〔リザーブ〕
16.エリオット・ディー 17.リース・カリ 18.ディロン・ルイス 19.アダム・ベアード 20.アーロン・シングラー 21.トモス・ウィリアムズ 22.リース・パッチェル 23.オーウェン・ワトキン