【コラム】ラグビー愛の伝え方
開幕まであと5週間! ラグビー伝統国以外で初めてのワールドカップが始まる。日本で初、アジアで初、時代の変わり目の大会が幕を開けようとしている。
「チケットって、取ってもらえたりしない?」と聞かれることが増え、しかしそのようなパワーはまったくなく不甲斐ないのだが、とにかく、ラグビーの話題を相手の方からされる機会が格段に増えた。
楕円球話といえば、これまでは専ら、こちらからするものだった。
ラグビーの存在を伝えたいのであって、俺は、僕が、で語るべきことはあまりない。それでも、聞き上手な人がいる場合は調子に乗ってベラベラいってしまい、後悔する。
「あ、いまみんな引いたな」。あの勇み足を何度繰り返すのか。
いよいよワールドカップが日本で始まる。今回もどんなことが起きるかは誰にもわからない。たとえ起きなくても、やはり自国開催は臨場感が違う。一般社会で稀少種らしい楕円系の僕らには、これから先、ラグビーについて話す機会がより多く訪れるはずだ。せっかく、少しでも関心を持ってくれた人にどんな話し方をしよう。
そう思っていたら、同じようなことを考え続けて、「伝え方」を一つの形にした人がいたので紹介したい。
ヤマモトさんは書籍を作る仕事をしているきりっとした女性だ。大学の時、唐突にラグビーを始め、週1ペースで楕円球に触れる生活をしていた。
ワールドカップイヤーになり、突然、観戦初心者のためのラグビー本を作ることになり、戸惑いながらも奮闘。ラグビーをどう伝えるか悩み、さまざまな楕円関係者のサポートを得て、晴れて7月、刊行に至った。
以下はそのその原動力となった信頼と愛を、あますところなくテキスト化したものである。
◎
––読者をラグビー観戦の世界へナビゲートする「KISHIBOY」(キャラクターデザイン:荒川潤一)は、ルール動画でお馴染みですね。コンセプトづくりから完成まで、特に苦労したことはありますか?
一応ラグビー経験者で、ラグビーファンでもあるので、その魅力について伝えたいことがありすぎて。本の中に入れたい、説明したいことが多すぎる。もし私だけで作っていたら、初心者にはわかりにくいルール本になっていたと思います。
「ラグビーってこんなにすごいよ」ということをつい伝えたくなってしまうんですよね。そのまま行ったら、きっと「押しつけがましいなあ」と思われる本になっていたかもしれません。