コラム 2019.08.15
【コラム】ラグビー愛の伝え方

【コラム】ラグビー愛の伝え方

[ 成見宏樹 ]

––チームだから、できたことがあるのですね。

 この本が今の形になったのは、著者でKISHIBOYのラグビールール動画の生みの親の中野良一さんと木谷友亮さんが、要素を大胆にそぎ落として、「わかったつもりになってもらう」ことにフォーカスしてくれたからです。

「わからせよう」などという上から目線な部分は一切なく、「すぐにわかる」「わかったらおもしろくなる」ことだけを選んで入れました。

 そして、「ラグビーってこんなにすごいんだよ」的な部分も極力入れないようにして、内容を練りに練っていきました。

 2月後半から4月末まで、ほぼ1週間に1回の打ち合わせと、ラグビー経験者、選手、レフリーなどへの取材を続けて、その中でどんどん内容がブラッシュアップされていったと思います。

 こうして、クリエイターの決断力・抽出力による、まさに「ざっくり」としたラグビー紹介本ができあがりました。

––この本に関わって、「ああラグビーってこういうところがめんどくさいな笑」、「でもこういうところがいいな!」と改めて感じたことはありますか?

 30年以上にわたってラグビー観戦してて、選手として経験しても、ああ、やっぱり、オフサイドってわからない!(笑)。ましてそれを初心者に説明するのもとっても難しい。

 ラグビーのルールって難しいというけど、「わからなくても観戦楽しめるルールや反則は、とりあえずおいといて、楽しむこと重視」でいいんだな、って、この本作って思えました。そういう視点の情報が増えたら、初心者も入りやすくなるのかなあと思います。

 それと、ラグビーファンって、私も含めて、ラグビー愛が強すぎて、ファンじゃない人から見るとちょっとうざいのではないか、めんどくさいのではないか…ということも。熱く語り過ぎられると、逆にひいちゃうこともあるのかなあと。

 そんなことも、本を作りながら気づいたことで、この本にはそういう「愛のおしつけ」部分がないのも魅力だと思います。

そして、本を作ってあらためて思ったのは、ラグビー経験者やファンはみんなやさしい!ということです。

どこにこの本を持って行っても、みんな親身になって話を聞いてくれて、きっとみなさんそれぞれ独自のルールの説明法とか、ラグビー論的なものをお持ちだと思うのに、温かい目でこの「ざっくりした」本を見てくれたことが、うれしかったです。

          ◎

 ヤマモトさんありがとう。なるほど、ラグビー関係者はラグビーが好きすぎる。愛情が強過ぎて「もっとこうあるべきだ」「みんなも、こうするべきだ」といったメッセージが期せずして伝わってしまうと、少々うっとうしさを発散するのだろう。

 さて、ラグビーに触れたことがない人に、どうラグビーを伝えるか。

 いろいろわかってほしいことはあるけれど、まずは割り切って「ざっくり」とラグビーを受け止めてもらうのもいいのかもしれない。そのうち自然に、それぞれが各々の面白さや「ここがすごい」を見つけてくれたら、最高だ。何年か経ったら今度は、自分の知らない魅力を、その人に教わったりして。

YouTubeで評判!
ラグビールール動画でおなじみの
kishiboyが本になりました。

「ラグビーのルール超・初級編」
著者:中野良一・木谷友亮
キャラクターデザイン:荒川潤一
7月より発売中!
版元:ハーパーコリンズ・ジャパン

成見宏樹
【筆者プロフィール】成見宏樹(  )
1972年生まれ。筑波大学体育専門学群卒業後、1995年4月、株式会社ベースボール・マガジン社入社。ラグビーマガジン編集部勤務、週刊サッカーマガジン編集部勤務、ラグビーマガジン編集部勤務(8年ぶり2回目)、ソフトテニスマガジン編集長を経て、2017年からラグビーマガジン編集部(5年ぶり3回目)、編集次長。

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