W杯メンバーへの生き残り賭ける山中、PNC最終戦先発。「準備はしっかりやってきた」
アメリカ戦を翌日に控えた日本代表は9日、フィジーのスヴァ市内にあるアルバートパークで、30分ほどの前日練習をおこなった。
今季初めてジャパンのジャージーを着る山中亮平。パシフィック・ネーションズカップ(PNC)スコッドには入っていたものの、これまではメンバー外だった。「出たかったがチャンスが来なかった。準備だけはしっかりやってきた」と、巡ってきたチャンスにワールドカップ最終メンバーへの生き残りを賭ける。
これまで2試合、FBを務めたウィリアム・トゥポウの動きを「僕ならこうプレーする、出たらこうする」と考えながら見ていたという。アメリカはHB団、FBからのキックが攻めの起点。試合ではSO田村優と連係しながらキック処理、ディフェンスを担う。
「ワールドカップより明日。そこにつながるように」。悲願のワールドカップ出場に向け、明日が正念場となる。
アメリカ代表のヘッドコーチは、山中が所属する神戸製鋼の元指揮官であるギャリー・ゴールド。ディフェンスコーチは、トップリーグでもコンビを組んだジャック・フーリーと、縁のある一戦にもなる。
SH田中史朗も今季初先発組だ。盛岡合宿初日のスピードトレーニングの際、右脚に軽い肉離れ。第2戦のトンガ戦は出られない状態ではなかったが、「オッサンなので無理せず(笑)。三洋時代、(ケガをして)すぐ出て再発したので」と、完全に復調するのを待っての先発だ。
チーム最多キャップ69のベテランは、PNCでの戦いを「一人ひとりの意識が高くなった」と感じた。「相手の強みを消しながら戦っていた。先を見るのでなく、目の前を見るようになったことが、この結果につながっている。トンガ戦はミスも多かったけど、それを差し引いてもいいラグビーができている」。
現在、SHは茂野海人、流大とレベルの高い争いが続いている。「スピード、フィットネスでは二人にかなわない。僕は経験、周りを見る力で勝負していく」。
アメリカ対策として「全員フィジカルが強い。穴を開けてしまうと、そこに付け込まれる。モールとラインアウトが強いので、ボールをあまり出さずオンプレーの中で相手をバラバラにしたい」。これまで培った経験でチームをリードする。
一方、3週連続で先発するのはHO堀江翔太。長距離の移動も重なったが、「週ごとに練習の強度が変わっているので、疲れた感覚はないです」。
新ルールとなったスクラムだが、レフリーが実際には対応できていないと感じるという。「言われてることと違うことが、グラウンドで起こってる」。たとえば距離やバインドの具合が反則と思っても、レフリーの判断がそうでない場合、「僕らが反則と思ってることを(相手に)やられたら不利。そこをうまいこと(試合中に)話しながら、OKな部分まであげないといけない」。
こちらも、出場が決まればワールドカップ3大会目となる経験が大きくものを言いそうだ。