中大ラグビー部の大きくてまじめな2年生。橋本吾郎は「基礎から丁寧にやる」。
中大ラグビー部2年の橋本吾郎は、「礼儀を重んずる部分が定着していて……」と自己分析する。幼いころは空手少年で、埼玉・寄居中でラグビーを始めてからも県内の正智深谷高に入るまで空手と両立していた。大学でも、同級生に対しても折り目の正しい受け答えをするようだ。
日体大との関東大学春季大会・Cグループの試合を43-20で制した5月5日、会場の東京・中大グラウンドで語った。
「中央大学ラグビー部としてのプライド、意志、チームとして一丸となってユニフォームを着ている喜びがあって。1年の時は怪我等でAチームに関わる機会があまりなかったのですが、それなりの努力をしてきて、何試合かプレーしてきました。自分が思っている以上に相手のレベルが高くて、勝ったからこそ課題が見つかって、それがチームとしての大きな成長になる。次の試合までに高みを目指せるようにしていきたいです」
身長190センチ、体重86キロという恵まれた骨格、豊富な運動量、何より基本を重視する姿勢を魅力とする。例えば、味方が球を持ち込んだ接点へサポートに入る際、邪魔に入る相手のジャージィに自らの上腕や指を巻き込みつつ、地面の球をまたぐ。おもに下働きの多いFLを任されるなか、基本中の基本を怠らないのだ。
「自分は身体も細いですし、まだ他の大学の選手には太刀打ちできない。そんななかでもひとつひとつの動作を流すことなく、基礎から丁寧にやる。それで自分も成長できますし、チームにもいい影響を与えられます。声を出すことも意識しています」
中大は昨季、加盟する関東大学リーグ戦1部で最下位と苦しんだ。再建を目指す松田雄監督は、今季より遠藤哲ヘッドコーチ(HC)を招いている。リコーでの現役時代にともにプレーした過去があり、昨年まで20歳以下日本代表を率いてきた指導者に練習メニューの作成やチーム戦術の構築などを任せる。春季大会の時期もタフな走り込みを課すなどし、相手より多く動けるチーム作りを目指す。
リーグ戦1部の参加クラブにあっては少人数で、8チーム中5チームに所属する留学生選手もいない。ライバルとの体格差を運動量やしぶとさでカバーするのは中大の伝統だ。遠藤HCの存在や指導、さらには自分たちのあるべき態度について、橋本はこう語るのだった。
「チームを第一に考えてくれている。道しるべを示してくれる。でも、挑戦するのは自分たちです。遠藤さんの思いに対し、自分たちもついていかなきゃいけない。何の意図をもってきつい練習をしているのかを考えると、その練習が新たな道しるべだと思える。どれだけ挑戦心を持てるかで、練習の精度が変わってきます」
松田監督からは「ちゃんと飯を食べてるか」と心配されるという橋本。さらにフィジカルを強化し、自らの意志でタフに戦いたい。