日本代表入り叶わなかったガンター、4年後目指すよりも「一週間、一週間」

　ハーフタイム明けから登場するや、攻守に顔を出す。もっとも、逆転勝利をかけたラストワンプレーでは痛恨のノックオン。本人は「…覚えていません」と天を仰いだ。

　7月19日、東京・秩父宮ラグビー場。トップリーグカップのプール最終節があり、ベン・ガンターはパナソニックの一員としてサントリーに挑んでいた。19－23で敗れた。

「インパクトを与えよう。全てをシンプルにおこなおう。そう思っていました。現時点で疲れはありますが、40分間で80分の動きをしようと考えました」

　身長195センチ、体重118キロの21歳。FW第3列として、スピードと地上戦での強さを誇る。

　オーストラリア出身でタイ国籍を持ち、来日初年度の2016年10月30日には当時の国内トップリーグ最年少出場記録を更新した（19歳6日）。2019年には、日本のサンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーでデビューを飾る。地元から同リーグへ参加するレッズとは契約できなかったが、成長の機会を与えられた日本で才能を開花させた。

　今秋のワールドカップ日本大会に向けては、日本代表候補にあたるラグビーワールドカップトレーニングスコッドにも加わっていた。「国内継続居住36か月以上」という条件をクリアして代表資格を得られるのは、今年7月と見られていた。

　しかしながら、早期の日本代表入りは叶わなくなった。国際統括団体のワールドラグビーから、継続居住期間の長さが不十分とされたのだ。

　ガンターは、報せを聞いた5月の時点で「私はまだ若い」と先を見据える。サントリー戦後に同じ趣旨で聞かれても、こう続ける。

「仕方のないこと。いまはパナソニックのために100パーセントの力を出すのが仕事。それをしたいと思っています」

　6月中旬まで、サンウルブズの一員として世界を転戦。7月上旬からは気持ちを切り替え、国内のカップ戦に出場していた。2023年のワールドカップフランス大会に向け、日本代表入りへの挑戦を再スタートさせるところか。当の本人は「一週間、一週間を考えていきたい」と地に足をつけている。