世界最高のラインアウト理論家ボーズウィック 日本代表を熱血指導
ジャパンFWに丁寧に説明するボーズウィック。その言葉には熱がある
(撮影:BBM)
パシフィック・ネーションズカップに向け、5月30日からあらめて再スタートしたジャパン。秩父宮で行われた練習には、198cm、113kgの大男がいた。FWのバックファイブに対し、「スクィーズ」と何度も叫ぶ。ラインアウトについてのセッションの時だった。6月5日までスポットコーチとしてジャパンに帯同する32歳は、サラセンズでプレーするLOスティーブ・ボーズウィック。イングランド代表キャップ57(2001-2010)を持ち、同代表でキャプテンを務めた経験もある。
今回はラインアウトについてのコーチングを求められているボーズウィック。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチが「世界最高のラインアウト理論を持っている」と高く評価する男はこの日、ジャンパー&リフターの基本的動きについてセッションを実施した。
初めてジャパンの練習に触れ、「練習に対する選手たちの態度に感銘を受けました。そして、ハイペースで展開される練習についていける気持ち、能力がある。エディーがいるチームはすぐに成長していく」と語った。そして、笑顔で言葉を継いだ。
「ジャパンの選手たちのすぐれているところが俊敏性ということもすぐに分かった。私の役目は、その強味を最大限に引き出すことだと思っています」
この日くり返し伝えた「スクィーズ」の言葉は、リフターたちに対してのものだった。
「2人のリフターが接近し、ジャンパーをいっきにプッシュアップするイメージを伝えました。スクィーズって、いろんな意味があるんだけど、たとえばケチャップのチューブをグイッと絞ると、勢いよく中身が飛び出すでしょう。あの感覚。スクエアーに、正対してお互いに立つこともリフターに伝えたんだけど、それは力があちこちに散ることなく、ちゃんと上方に向かうように、ということなんです」
セッションの途中も、選手たちに笑顔で語りかけた。ジャンパー、リフターに共通して伝えられたアドバイスは、一つひとつの動作をもっと鋭くすること。俊敏さをパワーに変換する鍵でもあるのだろう。
所属するサラセンズは6月9日に香港で、アジア/パシフィック・バーバリアンズとの試合(BGC APBs in Hong Kong’s Chartis Cup) を戦うことになっているが、ボーズウィックは日本から直接、香港入りする予定。そして、その試合に主将として臨む。ちなみにバーバリアンズ側のメンバーには、シェーン・ウィリアムズ、マーティン・ウィリアムズのウエールズ勢やミルズ・ムリアイナ、リコ・ギアらオールブラックス勢、サモアのトゥイランギ兄弟らが予定されている。