その他 2019.06.03

BEYOND 2019。日本のラグビーのこれからを支える、若き力と新たな取り組み。

[ 竹鼻智 ]
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BEYOND 2019。日本のラグビーのこれからを支える、若き力と新たな取り組み。
左が野田大地さん、右が福島弦さん(撮影:松本かおり)

 サンウルブズの2020年シーズン限りでのスーパーラグビーからの除外と、現時点ではまだ正式決定がなされていない、ネーションズ・チャンピオンシップ。2019年以降の日本ラグビーの行方に、不安を抱くファンは多いのではないか。そんな中、日本ラグビー協会は「BEYOND 2019 戦略室」というチームを立ち上げ、日本ラグビーの未来を切り開く試みに取り組んでいる。

 このチームを引っ張るのは、福島弦さんと野田大地さん。二人とも30代前半とこの業界ではまだ若手だが、それぞれ、マッキンゼー&カンパニー、ゴールドマン・サックス証券と、外資系企業で国際舞台でのビジネス経験を持つ。福島さんは、2015年のチーム創設時からサンウルブズに参画。野田さんも、翌16年から、日本ラグビーにとっての歴史的な出来事である、このチームに仲間入りした。二人とも、エリートレベルでのプレー経験はないが、一般アマチュアレベルで楕円球を追いかけてきた、根っからのラガーマンだ。

 サンウルブズの立ち上げ・運営にも携わった経験を持つ、二人は日本ラグビー協会の「BEYOND 2019 戦略室」で、新たな挑戦に臨む。現在取り組んでいるのは、このチームに加わる、新しい人材の採用だ。戦略室のマネージャーとして、現状分析と戦略の策定、海外の関係者との交渉や、さまざまな取り組みの事業化とその実行管理まで、広範にわたる責任を負う人材を募集している。年収1000万円程度と、スポーツビジネス界では破格の報酬を用意し、経験豊富なビジネスパーソンの獲得を狙う。

 昨年、一昨年と新たな人材を外部から採用し、成果を挙げたラグビーワールドカップ2019組織委員会と同じく、「ビズリーチ」という経験豊富なビジネスパーソン向けの転職サイトとタッグを組み、人材を募集する。

 組織委員会では、チケット・マーケティングをはじめ、他スポーツからの該当業務の専門家や、事業構築、プロジェクト・マネージメントの経験者などの人材を、新たに迎え入れた。「ビジネス上の能力」を最優先し、ラグビー畑の外にも大きく門戸を開いた人材採用は、予想を上回るペースでのチケット販売など、目に見える結果を残している。

 野田さんは、「新しいファン層の拡大も含め、“事業性”という観点から、今後の日本のラグビーの発展に貢献してくれる人」を採用のキーワードに挙げる。福島さんは、「協会の幹部人事だけではなく、現場を取り仕切る実務レベルの人材が、2019年以降の日本ラグビー界にとって重要である」と、挑戦を共にする新しい仲間の加入に期待を寄せる。

 サンウルブズの参戦が継続されてないというSANZAAR(スーパーラグビーを運営する組織)の決定は残念なニュースだが、こうしてラグビー界に残り、更なる挑戦を続ける二人の若きビジネスマンは、チームが残してくれた、「レガシー」とも言えるのではないだろうか。そして、2019年以降の未来に向けて、日本ラグビーの為に志を共にしてくれる新たな仲間は、ワールドカップ後に残る、かけがえのない「レガシー」の一部となってくれるだろう。

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