コラム 2019.04.24

【ラグリパWest】日本での成長を決めたキウイ・ボーイ。 ティエナン・コステリー(IPU・環太平洋大)

[ 鎮 勝也 ]
【ラグリパWest】日本での成長を決めたキウイ・ボーイ。 ティエナン・コステリー(IPU・環太平洋大)
IPU・環太平洋大に加わったニュージーランドからの留学生であるティエナン・コステリー。チーム強化の起爆剤になる。



 フレーズは「金髪をなびかせて」。
 しかし、ラグビーは甘くも優しくもない。
 えぐい。

 彷彿とさせるのはジャン・ピエール・リーブ。
 40年近く前のフランス代表の闘将も同じ感じの髪、色だった。

 ティエナン・コステリー。

 マイカ・ナシラシラとともにIPU・環太平洋大におけるチーム初の留学生になった。
 IPUはInternational Pacific Universityの略。2007年に岡山に開学し13年目を迎える比較的新しい私立大である。

 この6月で19歳。王国・ニュージーランド(NZ)から1年生入学の理由を話す。
「日本のラグビーのレベルは高くなっています。そして将来性があります。そこで自分を磨いてみたいと思いました」

 入学直後、4月13日の関西セブンズフェスティバル(7人制)で鮮烈デビューを飾る。
 1回戦は関西大。0-5の前半3分、2人を抜き、ひとりをずらしてボールを放る。古堅哲真のトライを呼び込む。そのスピードは192センチ、90キロのサイズを感じさせない。6分には大外でパスをもらいインゴールに飛び込んだ。

 後半開始12秒で右親指を脱臼する。
 痛みに耐えながら、4分には3人をひきつける。ナシラシラへ5点へのラストパス。1トライ2アシストとそれまでの3トライすべてに絡んだ後、ピッチを離れた。
 試合は31-10。昨年、関西Aリーグだった伝統校を撃破する原動力になる。

 フランカーとして日本代表キャップ4を持つ監督の小村淳は、その気迫に驚く。
「脱臼をしてるのに、試合に出してくれ、って言ってくるんだよね。すごいよね」
 生半可な気持ちでの留学ではない。
 軸の抜けたチームは、次戦の準々決勝で前年優勝の天理大に7-44と大敗した。

 S&Cコーチの髙山慎は話す。NZで教育を受け、通訳も兼ねている。
「セブンズから帰ってきて、まだまだ自分のレベルは低い、って言っていました」
 先輩留学生であるシオサイア・フィフィタ(天理大3年)やテビタ・タイ(摂南大2年)の強さや速さに刺激を受ける。

 フィフィタはジュニア・ジャパン(日本代表の下のカテゴリー)、タイはトンガ7人制代表だ。彼らと比べて自分を客観視できる。その上で向上心もある。練習終わりには、サインプレーや練習内容、気づいたことなどを手のひらサイズのノートに記している。


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